デジタル経済で、勝つために

かつて工業化社会で勝ち組だった日本が、長年築いた努力が見事に新興国に敗れた経験がある。それは携帯電話である。固定電話には多大なインフラ投資が必要であるが、携帯電話ではそれほど必要でない。その結果、携帯電話の普及率は新興国に追い越された。追い越されたというよりは、先行された。ひいてはインターネットの普及・活用も先行された。GAFAMに代表されるようにIT分野でも先進国に先行された。
デジタル経済には、アプリケーション層(アプリ)、ミドルウェア層(OS)、物理層(インフラ)がある。日本は物理層に対しては培ってきた技術があるが、他は見るものがない。社会が成熟すると、上位のアプリケーション層、ミドルウェア層に比重が移るが、それは知恵と集中投資が解決する層だ。後発と思っていた中国・インドだけでなくナイジェリアやケニアなどでも開発が進んでいる。新興国でも対処しやすいアプリケーション層(つまり、アプリ)が問題なのだ。俗に言うとスマートホンで利用できる有用なアプリ開発(もちろん、これからも進化する)が必要なのだ。誰にでも参入できるのがデジタル社会なのだ。
うかうかすると、あっさり逆転された携帯電話の二の舞になってしまう。新型コロナで沈む国民にデジタル経済で光明を導きたいものだ。