ビッグモーターが暴き出す、損保のカルテル

 ビッグモーターによる修理の偽装・不正保険請求・会社前の植木の破損など、普通ではあり得ないような犯罪が発覚した。国土交通省や金融庁が立ち入り検査に入った。
 中古車業界は、乱立乱売で先行きの市場の不安も相まって不安定だ。その中で一代で築き上げたエネルギーは、今の日本に求められることである。しかし、一定規模まで成長すると転換期を迎えるのが常である。確かな戦略によって、それを乗り切るすべを持って欲しい。
 先般、電力企業によるカルテルが発覚した。あれほど寡占化した独占企業がもがく姿は、今後のエネルギー転換の難しさを見るようである。電力業界は発電の部門は自由化されて、活性化の余地は儲けられている(中国企業に侵食されつつあるのは残念であるが)。国を含め国家のインフラを維持する戦略が必要だ。
 今回は損保業界のカルテルである。損保同士のカルテルも問題であるが、もっと悪質なのは企業と損保会社の癒着である。ビッグモーター問題にも損保会社との暗黙の了解で、保険の水増しが行われていた。そのしわ寄せは国民の保険料に跳ね返っている。そこには拡大再生産の現場は無く、ただ単にバブルの取引が行われていたに過ぎない。
 難しくなる経済の中で、先細るパイを争って安易な不当競争が増えいく。自分は留まり周囲を狙って、安易な方法で生き残ろうとする時代錯誤の発想が蔓延る日本になった。なんら戦略がなく、目の前の事しか考え対応するしかない、夢のない企業の多いことか。グローバル化と言われて久しいが、増々ローカル化している。