不確実性を再確認--ナゴルノカラバフ紛争

 ナゴルノカラバフはアゼルバイジャン領と国際的には確認されていたが、アルメニア人が多数居住しているため独立を目指し紛争が続いていた。アゼルバイジャン(イスラム教)はトルコが支援し、アルメニア(アルメニア正教)はロシアが支援していた。9月末のアゼルバイジャンの攻撃でアルメニアが敗北し、月末までには12万人の内10万人がアルメニアへ避難した。民族間の争いには付き物であるが、故郷を追われる人々の気持ちを思うと痛ましい。
 アルメニアは元ソ連領であったこともあり、ロシアと同盟を結んでいた。過去にも紛争があったがロシアは支援していた。しかし今回は、全く支援しなかった。ウクライナ侵攻に手いっぱいであったことは明白であるが、同盟を結び手なずけていたロシアの無策をアルメニアが怒りを覚えることは当然であろう。早速、アルメニアはICC(国際刑事裁判所)に加盟した。つまり、ICCから逮捕状が出されているプーチンの逮捕に踏み切り、ロシアとの絶縁を示した。その先にはNATO加盟も視野に入るのか。
 日本はアメリカと同盟を結んでいる。現状は強固であるがアメリカの国内情勢は混乱している。米中関係は悪化しているが、リーダー次第で政策も変わる度合いが強くなっているアメリカの昨今の状況だ。同盟は大切にすべきだが、一刻も早く自立できる国力を付けることは、乱世では必須の要件だ。