GDP、ドイツに抜かれる

 GDP(国民総生産)がドイツに抜かれ4位に転落した。円安の影響があったとはいえ、経済の停滞は間違いない。数年先にはインドにも抜かれる予想だ。これまではいずれも人口で日本を上回る国に次いでいたが、人口8300万人のドイツに追い越された事実は看過できない。1人当たりのGDPが高ければ、人口に比例しやすいGDPはあまり考えなくても良いが、日本の実態は30位前後だ。これはドイツにもかなり遅れている。抜かれたら抜き返す気概を持たないと国は亡びる。
 GDP=消費+投資+政府支出+純輸出の式であらわされる。
・純輸出は輸出と輸入の差額であり、円安の影響もあり黒字になっている。輸出は大企業の占める比率が高いが、多くの下請け企業を抱えている成果でもあり、その恩恵を分かち合うべきだ。
・消費は国民の消費が大部分を占めるが停滞気味である。賃上げでおのずと消費も向上するわけだから、企業のこれまでの賃金感覚を見直す事が求められる。それには社員も身を切る覚悟が必要だ。
・政府支出は公共投資が大きく影響するが、半導体支援や大学研究助成などあるが、大型公共事業はあまり行われていない。岸田首相は非課税世帯に7万円の支給案を表明しているが、バラマキは一時しのぎで活性化には無理がある。批判はあるかもしれないが、公務員や介護士などの政府が決められる場所から賃上げを率先して行い、企業に追従させるべきだ。
・投資は主に企業の設備や研究投資だが、一部を除いてしているとはいえない。将来を見据えた技術・製品の研究投資が望まれる。他人の懐はわからないが、大企業中心に内部留保はあるはずだ。先行き不安定な中国から撤退し、国内や安定した国に投資して国際競争力をつけるべきだ。

 国内消費は人口減に比例して、多くは望めない。おのずと輸出に頼らざるを得ない。GDP(国力)を上げるには、製造業がいかに付加価値の高い製品を創出するかが、一番早道だ。今一度、企業に頑張ってもらうことが必要だ。
 結論は、国民も企業も政府もこれまでのやり方を抜本的に改革しなくてはならないことだ。潰れるべき企業は退場し、先進的な企業が活躍しやすい構造に変革しなくてはならない。貧困は救済しなくてはならないが、基本的には貧しい人に照準を合わせるのではなく、創意工夫・努力をしている人に夢を与える社会に変革しなくてはならない。それがいずれは貧しい人も救済する。