派閥の功罪--自民党・安倍派と二階派への検察捜査

 自民党の安倍派と二階派へ東京地検が捜査に入った。パーティ収入が還流して政治資金に不記載が問題になっている。政治資金規正法違反であることは明白だが、派閥事務局か議員個人かが今後の焦点となる。それは地検の究明に任せるしかない。
 メディアでは派閥そのものが悪いと断定して議論がされている。国民の前で話すことは許されないミスリードである。そうするのであれば何故派閥が悪いかという論理的根拠を示さなくてはならない。犯したことが悪いのか派閥が悪いのかをごった煮して報道している。今回の問題は派閥が悪いのではなくて、その運用が悪いのである。それは派閥があったからと言うかもしれないが、罪を犯していない派閥も現に自民党にある。これらもメディアの思考停止と策略的報道姿勢の生んだものだ。
 自民党以外の政党には派閥がないかのような報道がなされているが、それに類似したものはある。もっとも派閥はある程度の集団にならないと機能しないから、今の野党には実現する可能性はない。組織が大きくなると地方分権のように権力移譲されたグループが出来るのがむしろ正常だ。それをいかに運営していくかが組織の力だ。自民党は地方分権が過ぎて(というよりは中央政権が弱くて)暴走を生んだ。
どの世界でもそうだが、個人が組織に頼る風土になっていることが諸悪の根源だ。国民が政府に助けてもらえることが当たり前と思うようになり、そう思うように報道を繰り返すメディアが個人を脆弱な体質にした。個人(議員)がしっかりしていたら派閥は強力な組織となる。それは党を強くし、国を強くする。政治を目指すものも自己を強くしてほしい、派閥という物体に頼らなくても活躍できる人材になって欲しい。そうなるためのステップとして派閥を活用することは悪いことではない。
自民党は派閥を人間関係の集まりではなく、政策集団として機能するものに替えなくてはならない。野党は一刻も早く国民が期待する、批判集団ではない政策集団に育たなくてはならない。