いつも脱線し、支離滅裂の〝朝までテレビ〟

 テレビ朝日の『朝までテレビは』は長寿番組だ。議論を戦わせるナマ番組が少なくなている昨今では希望の星だ。比較論だが思想的に偏りが少ないところは貴重だ。先日、「アメリカの大統領は、バイデンかトランプか」のテーマで放送された。最初はテーマの沿って進んでいたが、いつの間にか岸田政権批判の日本政治に化けた。業を煮やしたディレクターが本題に戻るよう要請した。しばらくは戻ったが、再びSDGsに熱中してしまった。司会もそうだが、総合司会までその話題を催促する始末になった。
 司会者は最近特に、自分の得意の分野に話題を移すことが多くなった。司会者の役割は議題をスムーズに進行させ、偏らない発言を引き出すことだが、最近はどの番組でも自分が司会者であることを忘れ発言者に変貌することが多い。またテーマに外れた場合に軌道修正ができない。出演者も自分の意見を言うことができず、一般論ばかり話す。バイデンはトランプかと聞いているのだが、自分にとって日本にとって世界にとって、どちらがいいと言える者のが少ない。次のどこかへの出演を意識して、うやむやな一般論しか言えない。
 出演者も回を重ねると、テーマに関係ないことを平気でしゃべる。実態はテーマに対する意見が言えないために、自分のテリトリーに話題を移すわけだ。若い人に多いのは、自分の知識が薄いために、人はこう言っていると、代弁する。また若い人のほうが、自分の考えに固執して、老人のごとく学ぼうとしない。出演者も固定することが多く、テーマに関係なく彼らの意見ばかり聞かされて、満腹気味だ。
 時間が長くて、話題に集中できないのであれば短くすべきだろう。逆に言えば、時間を活かすことのできないメンバーしかいないのであれば、番組担当者の問題だ。支離滅裂に陥っている原因は後者の、メンバー選定の失敗であろう。男女・年齢平等を謳っているのであれば、それは間違いだ。あくまで意見の平等を選定の基準とし、稚拙な平等主義で出演者を選ばれたら、視聴者には迷惑だ。