メディアの実態……[9]改革を阻害するメディア

 今の日本に一番必要なことは〝変革〟である。変革にはトラブルも苦労を伴う。それ故に変革が必要なのだ。苦労が伴なわないものは進歩がないことはわかっているはずだ。日ごろ努力するのは、今よりもよい人生を得たいからだし、そのためには自分を苦しめてでも挑戦する。
 一時期、議論が沸騰したマイナンバーカードの是非も消え去っていたが、この秋までには健康保険証を紐づける時期を迎える。カードの申請率が75%程度、保険証への紐づけが20%以下が現状だ。ここで日本の将来を考える人はどのような行動を起こすであろうか。①昔の全共闘よろしく反対を繰り返し叫ぶ人、②自分を変えないと社会も変わらないと前向きに取り組む人、③何も考えないで過ごす人。一番多いのは③の人であろうか。手法として一番迷惑なのは①である。その代表がメディアである。
 時の政府を批判し善人ぶっているメディアは、物事を考えるときまず否定の材料を探す。探すだけならまだしも、その意見に取りつかれて視野が狭まり、多角的な意見を排除する。狭い視野の中で意見を同じくする仲間を求める。あとはお決まりの批判サロンと化す。頭に血の上ったメンバーはさらにエスカレートする。それを見るしかない国民の哀れさ。
 メディアはカードと健康保険証との二重性を批判する。それを一本化しようとしている意義は認めない。そもそもカードシステムの概要さえも理解していない。批判・反対を旨とする単視眼的メディアに、勉強・研究する姿勢はない。まず、関係者は素直に理解を図ってほしい。根本的目的は、個人情報を一元管理し、多元的活用を進め、煩雑な事務処理を生産性のあるものにすることだ。少子化の進む日本では、生産性を上げない限りいつまでも人手不足だ。国際競争力がますます弱くなり、生活は苦しくなる。
 改革を進めない限り、日本の将来は暗い。人それぞれに、苦行が必要なのだ。それを目先の快楽だけを追う体質に塗り変えたのがメディアだ。戦犯として暴かれるのはいつだろうか。