プロ野球セリーグのCSで3位のDeNAがリーグ覇者の巨人を破り下剋上を達成し、日本シリーズに望むことになった。巨人にとっては2週間の試合のないブランクがあったことは痛かったが、勝負の世界では致し方ない。一方、海の向こうのアメリカのメジャーでは、日本以上の複雑なクライマックスが繰り広げられている。大谷翔平と山本由伸の属するドジャーズがファイナルへの挑戦権を獲得した。
野球に興味のない人も、メジャーリーグの印象を強くした今日この頃。しかし、ドジャーズの件は多少とも知った人でも、DeNAのことを知っている人は多くはない。野球に興味がないことは大きな理由だが、決定的な理由はメディアの報道姿勢にある。ニュースは大なり小なりメディアの報道姿勢で、大きく異なったものになる。ワイドショー的番組では、嫌気がさすくらい大谷の一挙手一投足まで報道する。それに尾ひれがついてメジャーリーグ(特にドジャーズ)まで、見たくも知りたくもないことまで報道する。まるで自分のことのように扱うメディアや出演者は、日本のプロ野球については報道の〝ほ〟の字もない。
今や日本人の選手も、メジャーで活躍できる人は多くいる。確かに大谷は別格だが、日本人メジャーリーガーを称えることはともかく、メジャーの球団をいつの間にか過大し過ぎている。公平に事実を伝える使命のメディアにとっては、自分で自分を見失った状態に陥っている。今やメジャーが日本のプロ野球に勝っているものは、パワーだけだと言えるのが現状だ。
日本人は明治以来、外国に学んできた。いつまでも学ぶべきことは外国にたくさんある。半面、学ばなくても良いこともたくさんある。日本には日本人としての文化や伝統がある。もはや役割を果たしていない国連の意見を、聞かなくてもよいものまで受け入れている。それをメディアが検証もなく喧伝する。それを思考能力が低下した国民が、考えることもなくムードで受け入れてしまう。国家主義的な報道はすべきではないが、日本国を愛することを根底に持った報道は大切なことだ。