アメリカで共和党のトランプが次期大統領に選ばれた。世界の趨勢は2極化している。強い政権と弱い連立政権だ。レッドスリーと言われる上院・下院を制するであろうトランプ政権はアメリカを強い政権へと導くであろう。中国、ロシアと渡り合える政権に立ち戻れる政権になった。独裁指向の強い政権は悪い面もあるが、迅速な決断という最強な武器を持つ。不合理と思える中国やロシアの横暴を許してきたのも、この強い政権の結果である。アメリカが民主主義を助ける強い政権になることを願うばかりだ。
一方、弱い政権の典型がヨーロッパだ。多くの国が連立政権で決断に時間を要する。EUの盟主ドイツでも連立政権が瓦解した。連立政権の最大の弱点は、内向きの意思の工作で物事が進展しないことだ。民主主義の自由という美名に酔っぱらって、国をまとめられない。国だけで収束するのであれば、じっくり時間をかけて自由の元に意見を戦わせればいいが、世界の国々は自国だけで物事は片づけられない。
日本では先の総選挙で与党が大敗し、野党が伸長した。しかし、その要因に問題がある。政治にとって最も大切な要因での結果でないことだ。野党・メディアの好きな政治資金不記載という失策で、結果が左右されたことだ。国内政策・外交政策においてではなく、政治レベルの問題ではない政治改革という生産性の無い問題で、国民は結論を急いだ。いずれにしても、国民は混迷のヨーロッパの象徴である弱い連立政権を選んだ。
億円単位の金は庶民にとっては大金であるが、政治にとっては問題にならない。政治に必要なことは、国を導く政策であり、それができる能力ある人材だ。今の与党にそのような人材が有るか否かはわからない。勿論、野党にもである。それを知らせる一端を担うのがメディアの役割だ。しかし、メディアは国の発展を思う観点が欠落した報道を繰り返すばかりだ。それに国民は疑問を持つこともなく、ミスリードに導かれる。結果的に、国民は自分で自分の首を絞めることになる。
各国首脳は相手国の政権を分析して外交をする。トランプは、安倍政権のようには今の日本の政権にはリスペクトはしないであろう。一方的に押し切られる可能性が強い。そのような国際情勢が分かっていながら、国民は今の結果を導いた。まったく何も考えないで投票した国民は、そのツケを払わされるであろう。