第二のシャープにならぬよう……過去の技術に捕らわれた日産自動車

 昨年末、ホンダと日産が統合する発表があった。持ち株会社の元に両社が独自性を持ってぶら下がる案であった。その後、ホンダが日産を子会社にする表明をした。両社は高度成長期に販売のトヨタと違って、技術を前面に謳って業績を上げてきた。最初の合併を聞いた時、技術屋同士の難しさを感じていた。それだけにお互いを活かした独立性を持った、持ち株会社の元での形式を考えたのであろう。
 同じ様に技術を謳う三菱自動車は、当初から両社に加わらないと表明した。結局、ホンダと日産は統合を解消した。一方、トヨタはダイハツやスバル、マツダなどと緩やかな統合をしている。そして現段階では、グループとして世界最大の自動車王国を築いている。過去自動車は〝技術〟の集約としての商品を作り上げた。その過去と違うのは、もはや自動車は工業的技術の集約ではなくなりつつあることだ。差別化の力点はITなどのソフトの集約の統合アミューズメント商品に移行している。だから工業的三流のテスラやBYDがEV分野で短期間にシェアを拡大できたのだ。
 ホンダはともかく、日産、三菱自動車は自動車の将来を考えるとき、経営体質が過去のものだ。日産と三菱が組んでもどうにもならない。両社はホンダが嫌ならトヨタグループの工場になるしか生き残る道はない。頭を技術から商品に切り替えるしかない。在りもしないプライドを捨ててホンダと歩むしか生き残れない。
過去、液晶などの技術で一世を風靡したシャープであったが、商品感覚を失って経営危機に陥り、台湾の鴻海に買収された。日産は過去、経営難からルノー(カルロス・ゴーン)に実質支配された。その教訓は全く生かされていない。今度は鴻海に支配されるつもりであろうか。電器業界の鴻海が、自動車産業に参入できるのが今の世界であることに気づかなくてはならない。