トランプは火事場泥棒をすべきではない

 ウクライナ和平についてトランプとプーチンが会談をするための高官交渉が行われている。和平交渉は歓迎すべきだが、当事者であるウクライナが除外されていることは問題だ。またウクライナ支援のアメリカとともに中心となってきた欧州(NATO)が参加していない。トランプはゼレンスキー大統領の支持率が4%しかない状況をもって大統領選をすべきと言っているが、実態は半数の支持率を保っている。プーチンの偽情報にアメリカが翻弄されているようで、情けない。
 この仲介に仲介者の利益が優先されていることは問題だ。トランプはウクライナのレアアースの利権を求めている。レアアースの中国への依存を解決することは良しとすべきだが、この段階で主目的にすることはいかにも醜い。かねてからトランプはアメリカ第一を謳っていたが、真にそうであるのであれば、過去のモンロー主義に浸ればよい。和平の仲介などやめてアメリカ国の政治に集中すればよい。
 トランプは強い大統領と思っていたが、意外と脆い人物に見えてきた。政治家プーチンの前では赤子のようにも見えてくる。ゼレンスキーを独裁者呼ばわりをしているが、実態の独裁者はトランプだ。故に独裁者プーチンに翻弄され、さらには尊敬の念を抱いている。政治をすることよりは独裁をすることに思いをはせている。習近平に一目置いたり、金正恩を許したりはその独裁手法に価値を見出している。独裁的経営で、財を成してきたイーロン・マスクの起用なども政治を踏まない政治にとって便利が故の物だ。
 ウクライナにレアアースを要求することは、まさに子供のわがままを思い出させる。火事場泥棒の発想が起きるのも独裁者なればの発想だ。アメリカは今一度熟考しなくてはならない。このようなアメリカにした世界の国々(特にグローバルサウス)は、自国の将来に危機感を持たなくてはならない。