少子化をくい止めるためには、子どもの優遇策を示すことは大切だ。その一環として授業料の無償化が議論されている。幼稚園から中学までは、子どもが家庭の範囲に留まることことから、その影響は全国一律・平等に考えられるし、家庭の経済的負担を緩和する。高校や大学となると生徒・学生は家から移動する。その理由は本人の能力を基準に考えることもあるが、経済的理由で公立と私立を考える。授業料が無償になると経済的理由がなくなる。その意味では教育の自由化が進んで、教育の観点で学校の選択が促進される。
日本の将来を考えるとき、少子化と地方の疲弊が問題となる。授業料が無償になると私立への進学が増える半面、公立への進学は減少する。問題は各地方において、私立学校はその地方の都会に偏在していることである。当然、経済面が同じであれば、生徒数の多い都会の学校を望む。山間・漁村の公立学校に進学する生徒は激減する。そして少子化は廃校を促進する。ますます、課題である地方創成を打ち砕く。都会の独り勝ちとなり、教育の質を提供する云々の話どころでは無くなる。
目先の正義ぶった政策で考えると、真の将来を誤らせる。子供に対する支援は必要なことであるが、国土を分断する世の中も考えなくてはならない。