コメで百姓一揆の国民・メディア

 米の値段が急騰し1年で倍増した。仮に5kgが3000円とすると、この価格は高いのか、安いのか。コメの5kgは33合である。家庭で1日3.3合を食すとすると5kgは10日分である。つまり、1日当たり300円となる。食パン1斤より高いが、食パン1斤で家族が1日過ごせるであろうか。市場の原理からすると、米は安すぎるということだ。
 日本の食料自給率は38%である。主食の米は自給できている。米は生産者問題で議論される。少子高齢化・零細農家・小規模分散土地などで、非効率な生産を強いられている。国を挙げて大規模農家や企業化へと転換中だが、今だしである。補助金を考えることは、当然の状況だ。補助金も一律にすると大規模農家と小規模農家で格差が進み、小規模農家の離農が進み、その割には大規模農家だけでは応じ切れる状態ではない。また、稲作は日本の国土を守り豊かにする原点であることを理解することだ。
 合わせて考えなくてはならないことは、流通形態だ。自主流通米なもあるが、大半は卸などの流通ステップを踏む。問題はそのステップの多さだ。片手のステップを経ることは当たり前となっている。この問題を改善しない限り、生産者米価と消費者米価の格差は解決できない。メディアは〝備蓄米〟〝古古米〟などと煽るのではなく、流通システムの本質的な問題を深堀すべきだ。
 消費者は、商品の価値に相当する出費をすることが必要だ。興味本位の報道に惑わされることなく、本質を見抜かなくてはならない。また、米の国における存在価値を、多少は損得勘定だけでなく、生活インフラとしての価値観でも把握することが必要だ。それしても〝米は安すぎる〟。