周回遅れの国際情報感覚

 アメリカではイーロン・マスクが新党「アメリカ党」を立ち上げると宣言した。独立以来続いてきた2党鼎立が崩れるのか。日本では現在、国政政党と呼ばれる党は10ある。自由民主の世の中では思いを持って手を上げることは、悪いことではない。しかし国民の税金を受ける政党が9もあることは何を意味するのであろうか。SNS社会で起こりうる現象の象徴であろうか。
 世界で超大国といわれるは、一応アメリカ、中国、ロシアであろう。その政治の大きな特徴は、独裁指向だ。インド、ブラジル、サウジアラビアなどもその傾向が強い。端的にいうと民主主義は統治しにくいということだ。そしてそれはあまり良いことではない。しかし、国際情勢が乱れる時代は、その傾向が顕著となる。独裁指向の政権は国民の民意を得るために、ポピュリストに変身する。国内だけでは収めきれず、国外にその場を求める。その歴史が、第一次大戦・第二次大戦だ。今の世界は確実に第三次大戦前夜だ。その先頭を切ってロシアがウクライナ侵攻した。中国は武力を背景に経済で世界侵略を続けている。アメリカは過去の大戦で、そうであったように自国に籠り、国力を醸成しようとしている。
 今の日本は国際情勢を全く把握せず、丼の中の島でしか思いが及ばない。知っているのは知識だけで、知識を活用する意識すらない。まったくの傍観者の立場で、自分の身の回りしか考えられない。多くの政党の中で、その調整にしかエネルギーを使えない。鎖国の中ではできても、世界一自由貿易の恩恵を受けている日本だ。日本は国際社会の中で、生きていく体制を失っている。今の世界では時代遅れの多数政党の乱立では、国際社会での日本を発揮する力は出せない。