イタリアが中国が主導する一帯一路から脱退した。一帯一路発足以来、最初の脱退である。対中貿易は赤字続きで、資本主義に合わない独裁政権への懸念が脱退の主な理由だ。発足以来10年が経過したが、中国の景気低迷の中、約11兆円の焦げ付きがあり〝債務の罠〟の危険性も言われる中、特段のメリットがないのが参加国の実感であろう。一致一路を評価すれば、〝中国の製品を売りつけ、インフラ整備に中国の資材と人材を利用し、他国の資源を搾取し、国連での自国票獲得を目的とする政策〟と言える。
中国は、EUの首脳を迎えて会談を持つなど欧州の引きつけに腐心している。EUもEV(電気自動車)への国家的補助で輸出される自動車に関税を考えている。この様に中国はWTO(国際貿易機関)の理念に反する貿易を多大に行使している。欧州には一帯一路に参加している国は約20か国があるが、一部の専制的な国を除いてイタリア同様にメリットよりは危険性を感じているだろう。
欧米同様グローバルサウス諸国も一帯一路には疑問を持っているが、悲しいことに自国での産業が脆弱である。専制的な国を中心に賄賂に等しい贈り物で、籠絡されている国も多い。軍部が強い国にはロシアや北朝鮮の実物武器支援で懐柔される。与えてくれれば誰でも良い状態からの脱却を先進国は支援しなくてはならない。