ガザ戦闘から1年、2年半で風化しようとしているウクライナ戦争

 ハマスがイスラエルに侵入して、千数百人を殺害し300人近い人質を連れさて始まったガザ戦闘から1年が経過した。戦局はイランの暗躍によるレバノンのヒズボラ・イエメンのフーシ派、そしてイラン自身の戦闘参加によって、泥沼化した。イスラエルが4万人余りの市民を無差別に殺害したことは、言うまでもなく犯罪だ。イスラエルがパレスチナ自治区に浸食している事実は、パレスチナ人にとって屈辱だし、それがハマスを増長させたことも事実だ。それを利用してイランが支援することは火事場泥棒に等しい。
 イスラエルとパレスチナ人の問題は、国際社会が作った問題だ。ホロコーストという美名(?)の元に贖罪意識からユダヤ人を支援した西欧諸国が、はるか昔のパレスチナの地にユダヤ人を返した。それを決めたのは国連であった。その決定が良かったのか悪かったのかは、今更の問題だ。今は一度決まったカザ地区とヨルダン川西岸にパレスチナ人を安堵した生活の場とすることしか、解決策はない。
 西欧諸国の国民は、イスラエル支援の立場は強いが、それでもイスラエルの戦闘を非難している人も多い。各地でデモが行われている。当のイスラエル国民自身も反戦の抗議デモを行っている。それは単なる死者の多さという事実からなのであろうか。
 ロシアがウクライナに侵攻して2年半余り経過した。この時多くの市民を殺害し、人質を連れ去った。発端の構図はハマスのイスラエル侵入と同じだ。これほどの犯罪を犯しているロシアに西欧諸国政府は武器は支援しているが、国民はまるで関係ないかのように沈黙に入った。特にロシア国民は知らされていないこともあるが、反対のデモはしない。民主主義の相違が歴然としている。
 ロシアのウクライナ侵攻は、同じ戦闘でもガザとは大きく異なる。ガザ戦闘には、あえて言えば双方に大義がある。しかし、ウクライナ戦争には大義がない。大国による一方的侵略だ。これを許したら国際秩序は保てない。ヨーロッパもそうだが、将来一番の犠牲者になる可能背が高いのはグローバルサウスの国々だ。支援という美名の元に侵略が横行する。国連の場で一票という平等の権利を得ている、それらの国々はこれまで受けた恩恵を国際社会で返す行動を起こさなくてはならない。