フジテレビの社員がタレント中居正広に女性を斡旋したとの文春の報道で、またしてもメディアの醜態が暴露された。事態の発端から1年以上もして経過して、自己組織ではなく株主のファンドの指摘があるまで事態は葬られたままであった。趣味の違いと言えばそれまでだが、面白くもおかしくもない彼の番組が六つもあったと聞き、テレビの価値観に対する鈍感さと無能さが覗える。
過去、旧ジャニーズの性加害問題で芸能事務所とメディアの癒着が問題になった。結局、メディアはただ単にジャニーズとだけの問題としかとらえられなく、モラル普遍の問題としてはとらえることが出来なかった体質が露呈した。メディアに求められるものの一つ倫理が欠落している。同時に自己を見つめ検証する姿勢の自浄能力が欠けている。はたしてフジテレビは株主のファンドの要求ではなく、一般の声であったら反応したであろうか。フジ以外のテレビは、視聴者受けの好材料として勇んで報道しているが、自分も同類であることを理解しているのであろうか。
人(会社)の能力は応用力が有るか否かで真価が評価される。直接的なことに対処できるだけでは進歩はない。問題の関連から広く視線を変えて、他の問題をとらえることが視野を広げ進歩に通じる。理屈では分かっていながら、実行できないのが今のメディアだ。既に起きていることであるが、視聴者に見放され、挙句の果てにはスポンサーから見放される。視聴者やスポンサーは、SNS以外は他に方法がないからテレビを利用しているに過ぎない時代になっていることを自覚しなくてはならない。