トランプ大統領は政府効率化省にマスクを指名した。構想では大幅に政府出費を削減して財政を立て直す予定だ。USAIDを大幅に削減して、対外援助を削減する。教育相を廃止し各州にそれを移行する。長く財政赤字に苦しんできたことを改善することは当然のことだ。問題はその方法だ。国内の雇用を確保する政策が、逆に失業者を増やす。
USAID(アメリカ合衆国国際開発庁)はグローバルサウスに資金援助などを行い、また職員を派遣して支援してきた。一言で言えば横暴を支援で相殺してきた面もある。近年はそれらの国も狡猾になってきて、アメリカや中国の支援を政治的に引き出す政策を行っている。支援を受ける立場の側が支援する側を天秤にかけて利用している。中国のような国家主義は財政の赤字を考えないで、他国との競争に勝てる体制だ。中国はそれを活用して、国連を利用して世界各国に恩を売り、自分が居なくなれば困る状況を世界の国に輸出してきた。一方のアメリカにそのような予算は考えにくい。自国第一主義のアメリカが支援を細ることは無理もない。しかし一番の敵対国と考える中国の作戦に、結果的に見方する。アメリカの敗北だ。
財政を見た時、一番の部門は軍備支出だ。そのためにはアメリカは自国の予算を削減する。その代償が同盟国の支出を要求することになる。「アメリカは世界の警察ではない」と常々言ってきたことがますます加速する。世界秩序を乱しかねないウクライナ問題から目をそらし、同盟国である隣国カナダやEUとの関係を狂わせることも辞さない姿勢だ。同盟国でもない台湾のことなど視界から消える勢いだ。アメリカの孤立を深め、ますます中国の笑顔を誘う。
マスクの進める政府のリストラは、対外的には中国の利益にすべからく一致する。マスクの所有するEVメーカー「テスラ」は中国にある。EVはアメリカでは売れないが、中国では売れる。トランプはディールで勝負するが、マスクは中国でディールする。気が付けば今回のディールの勝者はマスクになる。そして最大の勝者は中国である。それでいいのであろうか……。