民意は大切だが、ポプリズムは問題だ

 メディアは自らが実施したこともあるが、世論調査の結果を重要視する。内閣支持率もその一つだ。8月下旬の各社の調査で、石破内閣の支持率が10%近く上昇した。石破支持を暗に自任するメディアは、喜び勇んで報道した。一方で、自民党の支持率が下がったことで、さらに話題として煽った。自民党は今回の参議院選の敗北の総括をしているが、支持率が上がったのであるから、石破内閣は継続すべきとまで外野のメディアまで支持する事態になっている。
 ロシアのプーチン大統領は、国際的には不理仁な一方的ウクライナ侵略を行っている。彼の支持率は多く行われているわけでは無いが、75%前後を維持している。さすがにプーチンの悪事まで正当化・応援するメディアはない。日本のメディア・世論の陥っていることは、このプーチン現象に似た面がある。選挙の結果より世論調査を重んじるには、プーチンを支持することに等しい。第一世論調査はあてにならない恣意の多いオールドメディアの調査だ。世論支持率が高いから為政者を持ち上げる発想は、ポプリズムの入口だ。ヒットラーは圧倒的世論の支持によって、ポプリズムのなりの果て独裁者になった。
 今石破内閣の責任を総括するのであれば、世論調査の数字を持って行ってはならない。冷静に政治の基盤である選挙結果に基づかなくてはならない。公平正確性を欠く世論調査で政治を左右することはもってのほかだ。メディアは政治をゲームに置き換えて視聴率を高める危険な状態に陥っている。