安倍晋三の示した道

元首相安倍晋三が狙撃されて死亡した。選挙演説中の出来事で、許せないテロである。360度の中心に位置し警備が前方しか向いていなかったことは痛恨の極みである。疑問に思える初期医療処置と共に危機管理の甘さが露呈した。
鈍感になり国内の風向きに気を取られている日本国民にとって、改めて驚かされたことは世界各国の反応である。中国やロシアの弔辞には外交的形式があるとはいえ、安倍氏の生前の国際的役割がクローズアップされた。批判的視点で見る野党・メディアのアベノミクスや森・加計問題を後生大切にして、国際的潮流に後れを取った日本であった。中国の軍事拡大進出やロシアのソ連回帰思想によるウクライナ侵攻などは、早い段階で危惧し憲法改正や国際協調のインド太平洋構想を安倍氏は提唱していた。
安倍氏の願いが先見性のあることを示してはいたが、むしろ日本国民が余りにも能天気で危機管理意識が希薄であったことを自省するためには、氏の訃報を持って熟慮すべきである。