マイナンバー制度を混乱させた要因

 耳を疑うような無知からマイナンバー制度が混乱している。この制度は2016年1月から交付を開始した。潜んでいたのがコロナ禍で2021年の10万円給付の事務処理の停滞でクローズアップされた。確かにデジタル化されていたらスムーズに処理されたであろう。にもかかわらず、日本をあげて無駄な騒ぎを起こしている。その原因は次の通りだ。
①処理現場の凡ミス
 実際の処理は市町村レベルで行われた。人為的ミスは避けられないが、市町村によっての差異があることはコンピュータ使用の経験の浅さがうかがえる。首長と市民の狭間で多忙なこともあろうが、それを理由にはできないし、それ故にデジタル処理化を推進する目的がマイナンバー制度である。
②システムの脆弱性とチェック機能の不備
 現場で入力すれば、入力ミスは当たり前である。故に入力データのチェック機能は必須である。また既存データ間の関連性を把握してデータを照合することは当たり前である。データだけではその真偽はわからないから、妥当性・関連性などを考慮しなくてはならない。システム提供の富士通は猛省しなくてはならない。
③政府の焦り・説明不足
 制度についての内容を理解している国民は、確かに多くなかった。給付作業の混乱から、急に政府も導入を急いだ。ミスの発生で意を得た野党・メディアが過大報道をして、余計に混乱を煽った。政府に充分な・丁寧な説明を求めるならテレビの1チャネルも必要になる。そこにメディアの丁寧な理解と説明の必要性がある訳で、批判だけでなく前向きに理解して国民に報道する品性が求められる。
④原因を把握しないで誤報道をしたメディア
 メディアはこれまでのミスを個別に把握・理解しないで報道した。背景に反政府思想がはびっこているから、上げ足を取り批判的に報道し国民を煽った。将来的なマイナンバー制度のメリットを理解していたら、この様な報道はされなかったであろう。
⑤国民の情報リテラシー不足
 日本人の生産性の低さは、予てから危惧されてきた。パソコンが使えない人やワープロ・表計算ソフトを使えない企業人が未だに多くいる。自分がそうであるのであれば、せめてミスの起きる場面や原因を理解して欲しい。携帯電話の例のように、気が付いてみればグローバルサウス諸国が先に先進的利用で追い越していた。
⑥将来を描けない日本人
 デジタルの革新性はアナログの比ではない。昨今の〝生成AI〟を見ればわかるであろう。何に力を投入しなければならないか、何に手を抜くべきかが理解できていない。いつまでも機械化が仕事を奪うという発想しかなく、自身を変化・適応する意識が薄い。最終的には自分で切り開いて行くしかないのだから、積極的に将来を見つめることが必要だ。

厳格なあなたへ
日本の人口は約1億2000万人。マイナンバーでのミスの件数は不明だが、仮に1万件としたとき確率は?。0.008%。我々はこのミスを上回る仕事をしているだろうか?