土地の私有を求める共産主義者

 成田空港を利用する時、滑走路とターミナルを行き来する飛行機から奇異な風景を見る。ぽっかりと狭い空間が私有地として残っている。飛行機の往来には厄介な空間である。これが三里塚芝山連合空港反対同盟と4人の一坪所有者のものである。開港して半世紀、未だに解決していない土地問題。
 彼らは80歳前後の年齢を刻んでいる。若者としての正義感で反対闘争を行い、いつまでも主義主張を貫いていると自負している。やり方・道を変えれば前向きな社会貢献をすることもできたであろうに、むなしく人生を終えることになる。土地を国有化し市民に貸与することが旨の共産主義者が、土地を私有することに拘っている。
 一度始めたことは善悪に関係なく、やり続けなくてはならなくなることの悪いケースの一例だ。最早ことの善悪は関係なくなり、続けざるを得ない泥沼にはまっている。更に悪いことに、ここまでくると自分を美化する心理が働き人の言う事ばかりか、世の中に対する真理が狂ってしまう。
 ロシアのプーチンも欲望と正義心と恐怖から、ウクライナ侵攻を停止できない泥沼に陥ているが、根は三里塚闘争の様に些細な出来事を自分だけで大儀化しているだけだ。