前進しようとしない国民意識--マイナンバー制度

 岸田首相が保険証の廃止判断を先送りし、資格証明書を発行すると表明した。当初は24年秋に廃止としていたが、国民(?)の反対での対応である。政治家は国民に選挙という人質を取られている訳で、思う事ばかりできない宿命を持っている。人生で政治を貫こうとすると、朝令暮改をせざるを得ないこともある。メディアや国民はそれを利用して、政治を左右するが、昨今は政治ではなく批判や遊び心で偏向的利用が過ぎる。
 日本は経済で停滞し各国からも追いつき・追い越されいる。それは分野によっては先進国のみならず、途上国からも先越されている。その一つがデジタル技術の活用で、まともに生産性を直撃している。毎日、汗水して忙しく働いているがいつまでも生産性は上がらない。いまだにしなくてはならないことと、しなくても良いことが区別できない。チャットGPTなどの生成AIの言葉が流布して、ほのぼのと理解してきたが、AIに仕事を奪われるという恐怖心だけで、なんら対応行動が打てない。
 アメリカ・中国・韓国などは早くから国民番号を持っている。中国は厳格に統制され点数制度もあり悪用もしている。アメリカはいわゆる普通か。韓国は早くから利用し、トラブルも多いが国民はあまりそれを気にしない。日本で問題化した押捺をそれ以前から実施しスマホでの活用を早めている。インドは瞳孔登録などしてかなり進んでいて、そのシステムを途上国へ提供している。要するに、世界はつまらぬ作業をしないで効率的に運営でき、生産性を上げるための重複作業や複雑性を排除しつつあることだ。デジタルはこれまでのノウハウを持たない途上国を、一気に先端デジタル技術利用を可能にするし、アナログ思考から抜けきらない日本を置き去りにする。
 システムの変更にはトラブルが伴うものであり、それを乗り越えて初めて進歩する。やってみもせず机上の空論や偏見や既得権への固執などを理由に反対する。国民は変化することが嫌で怖いのだ。大半のメディアは反日で、進めようとする政策の中身ではなく、批判するために報道する。世界はどうこう言いながら、世界に取り残される報道で国民を騙す。マイナ制度のメリットを報道する番組を見たことがない。
 現行の保険証を残して並行して使えばいいなどと言う意見は、重複して混乱を増やすのみならず、現場を混乱させるだけで新しい社会に移行する必要を全く理解していない典型だ。マイナンバー制度も寛容に受け入れて、早期に完成させないと、現場は意味のない仕事を繰り返し、気が付けば取り残された浦島太郎になる。