少子化問題--〔16〕政府に頼りっぱなしでは少子化は防げない

政府の少子化対策はこれまでよりも前進してきて、喜ばしい。ただ、給付や税対策などが中心である点が残念だ。保育現場の拡充と改善・義務教育の無償化・高校の授業料無償化などは当たり前の事であろう。要は実質高卒が大勢になっていることであるから、この18年間を平等に安心して送れることが必要だ。大学の無償化が議論されているが、大学は教授内容が多岐にわたることから一律に議論するには疑問がある。ドライに将来の日本に具体的に必要とされる学科に、学生にではなく大学に補助を与える戦略的観点が必要だ。
余り他国と比較する必要はないが、韓国の現実を理解することは参考になる。合計特殊出生率は日本は1.27で韓国は0.7だ。最近の出生人口は約80万人に対して約30万人だ。このまま続けば明らかに日本より先に韓国は沈没する。青春を謳歌し、今の事だけ考えて、自分の将来や未来の子孫を考えないと確実に、現実は自分に罹ってくる。
昨今の国民は、何かあればすぐに政府を批判し、頼る傾向が強くなった。純粋に資本主義を貫くか、福祉国家を目指すかによって政府の介在は変わってくる。当然、福祉国家を目指せば政府に頼ることになり、上からの政策が強くなる。しかし、今の国民は政府を批判はすれども協力は快く思っていない。平等を求めるが、平等に国民としても責務を果たしていない。
子沢山の家族を見ると微笑ましいと同時に尊敬する。金銭的に豊かであるから、子沢山とは言えない。苦しくても沢山の子供を育てている人もいれば、逆に独身で豊かに生活している人もいる。将来の社会保障に貢献するのは前者だ。つまり独身や子供の少ない人は現在には貢献するが、将来に貢献する度合いは低い。そのような人が悪いと言っているのではない(人それぞれ事情がある)。それが現実ということだ。
国が国として繁栄するためには内需が必要だ。グローバル世界においては生産したものを輸出すれば潤うとばかりは言えない。中国が水産物の輸入を禁止し、レアメタルの輸出を規制したように、グローバル化は戦略的に利用される。経済は成長をし続けなければ国は衰退する(過去30年を見ればわかる)。内需を活性化するには購買者が必要だ。購買者を増やすためには人口増加が必要だ。若者が増えると活力ある画期的な製品が創られる。しかし政府に頼る甘えの体質では、苦境を乗り切る力を得ることは出来ない。敗北に立ち向かうには柔軟なで若い血が必要だ。困れば頼る体質は若い血も脆弱な体質にしてしまう。