若者にしか遺せないものがある

 生物は代々、先祖から受け、子孫に遺し伝え生き残ってきた。〝メンデルの法則〟や〝優性遺伝の法則〟などの言葉もあるように〝遺伝の法則〟だ。特に哺乳類は強い雄が雌を優先的に占有し、強い子孫を遺す。人間にも親の資質を受け継ぐ子孫が多いことは現実に目にしている。
 今、若者に焦点を当てて考える。つまり子孫を遺すのは若者であるからだ。そして遺伝のための資質である〝遺伝子〟を創り上げるのには何年もの歳月が必要である。言い過ぎると、おおよそ10代までが勝負ということになる。この時期に行ったことは何でも受け渡すことができる。ただ、注意すべきことは記憶した知識は引継げないことだ。従って、知識であれば知識を習得するための思考回路を創ることが必要だ。そのためには考え方を司る回路を創らなくてはならない。現実の知識というよりはそれを習得するための能力を養わなくてはならない。
 スポーツで代表される運動能力は日頃の身体の訓練が必要だ。持続力・瞬発力などの継続的な鍛錬が必要だ。スポーツマンの子は、競技は違ってもスポーツマンの能力を持っているのを目にする。体と脳の連携回路を創る必要もあるが、それがメンタルだ。
 簡単なことではないかもしれない。そのためには苦しく、習得しがたい日々が続く。それをやり遂げるためする努力・能力は資質に反映し、子孫に伝えることができる。人間として動物としての基礎能力を徹底的に鍛錬することが、強い子孫を遺せることに繋がる。人の幸福の一番は、俗に言えば優秀な子供に恵まれることだ。
 壮年になると自分の為にしか生きられないが、若者は他人(子孫)の為に生きることができる。