中国で全人代が開幕した。開幕でまず発表されたのは、恒例の閉幕後の首相による記者会見の廃止であった。李強首相は今年の経済成長率を5%前後とすると言ったが、同時に達成の難しさを臭わせた。首相の本務は経済であるから、全人代閉幕後の記者会見の取りやめは余程経済は苦しいことだろう。同時に首相に喋らせない習近平の彼に対する信頼感の低さが伺える。一番の側近と言われる彼の力量の無さが伺えるし、習近平の懐の狭さが露呈する。
「国家機密保護法」改正が可決・成立し、5月1日から施行される。これまでより共産党の管理が強化され、担当部署の判断で運営される。昨年の「反スパイ法」改正に続き、恣意的に適用される法が連続した。両法とも国内に対してだけでなく、海外にも適用される。外資が投資を検討する際には、まずマーケティング(市場調査)をしなくてはならない。当然、商品だけではなく国情を調べなくてはならない。それをも当局は気分次第で、違法と見なして摘発できる法だ。今現在でも進出数が3/1に減少しているにも関わらず、またしてもである。
今の中国に必要なことは経済の発展であろう。不動産バブルが崩壊し、失業率が増加し、若者がやる気を失い〝ねそべり族〟になり、国が富む前に俗文化を望む若者となった。国が成熟する前に996(9時~9時、週6日労働)を忌避し、自分の時間を大切にしたい若者が増えている。それは悪いことではないし、労働環境の改善は必要だ、しかし、それは真に国力が成熟してからの発想だ。
習近平指導部は、経済の発展を考えていることには違いないが、経済オンチでナメている。一人当たりのGDPが12000ドル(日本は44000)の中国が内需だけで国を保つことは不可能だ。それは当の中国自身が解っているから、国内の反対勢力や国民が爆発することを恐れている。それが唯一押さえ込みや・封鎖にしか発想が思い至らない末期的症状だ。口では外資の投資を懇願しながら、やっていることは鎖国的行為だ。「反スパイ法」・「国家機密保護法」を撤廃しない限り、百歩譲って法の適用を明文化しない限り、誰も中国には向かない。
日本は、この混乱に巻き込まれないよう、政治資金にかこ付けた無駄な政治を一刻も早く辞めて、将来を見つめなくてはならない。