無礼にも程がある

 ドジャーズの大谷翔平の通訳を務める水原一平(39)が大谷の金を着服して賭博資金にしていた。その額7億円という。メジャーでは通訳は球団が抱えるという。二人はエンゼルス時代からのコンビであったが、球団は身辺調査はしなかったのであろうか。余りの名コンビぶりにドジャースも引き続き採用したのであろう。おまけに大谷自身も違和感なく採用していたのであろうが、財布を簡単に預けてしまうことは、庶民には考えられない金銭感覚がマヒしていたと思える。
 大谷はいち個人であるから、どうこういう気はないし、言える立場ではない。問題は些細なことも、さも重大なこととして報道する感覚にマヒしてしまっているメディアだ。ニュースバリューが完全に狂っている。大谷自身には迷惑なことであろうが、メディアは彼を正義のヒーローに仕立て上げ、ニュースを発掘することなく、安易に報道を繰り返してきた。そして、メディア自身が報道することによって、社会の正義になった錯覚に陥てしまった。
 水原の事件が発覚すると、当然取材を行う。かなり以前から賭博依存症だあった事実も発覚した。過去を遡って調べるときの常とう手段として親・親戚を取材する。その行動はそれで仕方のないことであろう。しかし、簡単にメディアに露出してはならない。確かな裏付けをとるべきだし、プライベートを尊重しなくてはならない。あるメディアは何の疑問もなく、親とのやり取りを露出してしまった。やり取りといっても親は、「帰ってくれ」と言うしかない。未成年の子供が犯罪を犯したのであれば、説明もありうる。しかし、水原は39歳の大人だ。とっくの昔に親の手を離れている。このやり方がいかに許しがたい犯罪行為であるかを理解していない。暴露週刊誌の活躍に慣れてしまい、善悪を考えないで売上(視聴率)第一主義に陥ている自分に気づいていない。気づいていても自分を優先する。週刊誌はプライベートな営利機関だが、メディアは公共の電波を託された機関だ。まったく、自分の置かれている立場を全うする気など持ち合わせてない。