中露首脳会談の茶番

 習近平とプーチンによる中露首脳会だが北京で行われた。新しい任期5回目を迎えたプーチンが早速、北京を訪問したことはどことなく滑稽である。普通であれば、会うのであれば就任を祝って習近平がモスクワを訪問するのが筋であろう。もはや、ロシアは中国のジュニアパートナーとなり下がった。
 かつて中国の王朝は周辺国を属国とし、朝貢をさせた。経済力をつけた今の中国もやっと念願の朝貢スタイルを築けることに、さぞ満足していることであろう。経済制裁を受けているロシアがウクライナ戦争のための武器に欠乏し、調達を外国に依存しなくてはならない状態であることは明白だ。習近平はウクライナ戦争を「政治的」に解決したいと主張したが、プーチンは「軍事的」に解決するしか方法がない。もはやロシアは朝貢によって、軍備を中国から得るしか方法がなくなっている。昔は朝貢国に対しては多額の返礼を与えたが、今の中国にはそのような習慣はないし、第一その余裕はない。福島原発の処理水を汚染水と懸念する共同声明を出すなど、属国としての態度の典型であろうが、何の効果もない。
 経済的低迷をさらに、増幅することは間違いない中国。アメリカとの対立を深める中国の活路は欧州と日本しかない。さらにロシアとも関係を深め、支援を続ければ、欧州からも見放される。南シナ海でも侵略を繰り返すASEAN諸国から朝貢関係に期待することもできなくなる。そうなれば、国家主導の生産・強制労働で製造した低コストの製品で、成り立ってきた製品の販売先は購買力のないグローバルサウスに頼るしかないが、その購買力はない。しかし、そのグローバルサウスもやがて〝ローカルサウス〟に変貌するであろう。
 ロシアは、世界にとって中国にとっても、〝危険な、お荷物〟であることは、明らかだ。