ロシアの元最高指導者ゴルバチョフが永眠した。硬直した共産党を立て直すためにペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を推進し、結果的にはソ連が崩壊した。それに伴って連邦構成国が独立し衛星国も独立した。そしてロシアが生まれた。ロシア国内では構成上の大国ソ連から、単なるロシアになったことを良しとしない国民も多い。大国としてもプライドが消えうせたことが、逆に侵略主義を再生しているかのようだ。プーチンはそのような民意を背負って政権を維持している。
共産党時代(ソ連)の衰退は明らかなことであったから、崩壊によって自由な資本主義経済も動き出していた。しかしエリツィン~プーチンには荷が重かった。せっかくのチャンスも生かせないままかつてのソ連流手法の権威主義でしか国を統率できなかった。プーチンも国民に求められたというより、国民を恐れて国外侵略と言う手段で自分の不安をそらした。
ゴルバチョフの夢がどの様なものであったかは分からないが、ロシアはせっかく与えられたチャンスを生かす力量がなく放棄してしまった。この点は中国とは雲泥の差だ。ゴルバチョフの無念が分かるようだ。安倍元首相の評価が海外では高いのに日本国内では理解されていないように、ゴルバチョフも同様だ。所詮、日本人もロシア人も国際的・大局的に物事が見えない国民なのか。あれほど長い間しいたげられ続けた多くのロシア国民が、未だにその自虐的精神が払拭できていない悲しさ。