ヤクザの抗争の場と化した世界

 ヤクザの一般的発想は、強い者には媚諂い、弱い者からは略奪搾取することである。そして表面的には正義感を打ち出す。トランプは大統領当選前から「ウクライナ戦争は24時間で終わらせる」と言ってきた。メディアはそれを喧伝したが、誰もそれを信じていなかった。それは当然で、できるわけがないからである。しかし親分は正義感から、世間を知らずに調停に乗り出した。当事者の一方のウクライナを頭越しに、ロシアと話し合いを始めた。アメリカの力はかつてのようには無いし、アメリカンファーストを前面にしての親分の調停に従うわけがない。
 弱い者いじめの典型に、同盟国や本来味方のはずの国ぐのに正義の刃を向けた。カナダやメキシコへの関税・グリーンランドへの干渉・EUへの尊厳の軽視。視界にあるのは小判の輝きしかない。ディールと言えば美しいが、実態は金のためなら何でもするということだろう。
 自分の懐の乏しさに気づいてはいるが、子分への仁義を通さなくてはならない親分がプーチン。手練手管で内外に立ち振る舞う。国内へは運命共同体を浸透させる。国外には在りもしない実力をダイナマイトを腹に巻いて虚勢を張る。時間が自滅への道筋を暗示させる親分の姿。
 世の中は3者鼎立が難しいのが一般的だ。良くも悪くも2者であれば均衡が保たれる。第三勢力が暗躍することで均衡が破られる。今の世界はアメリカと中国の協調と抗争で均衡している。自分を軽視する世界を許せない三番手ロシアが、焦りを感じウクライナいじめに手をつけた。
 表立って剣を抜かないで自分を肥やす親分もいる。じっくり腰を据えてチンピラや露天商などを取り仕切り勢力図を塗り変えていく。昔なら考えにくいが、小物を取り仕切る仕組みが今の世にはある。国連を利用してグローバルサウスという美しい露天商を配下に抑えようとしている中国・習近平。
 昔のヤクザには仁義があったが、今のヤクザには金しかない。金のない親分は出入りに打って出た。仁義ではなく金と名誉を重んじる親分は、自分の名誉だけで調停に乗り出した。のらりくらりの日和見の親分は、漁夫の利を狙っている。

イーロン・マスクは中国の犬?

 トランプ大統領は政府効率化省にマスクを指名した。構想では大幅に政府出費を削減して財政を立て直す予定だ。USAIDを大幅に削減して、対外援助を削減する。教育相を廃止し各州にそれを移行する。長く財政赤字に苦しんできたことを改善することは当然のことだ。問題はその方法だ。国内の雇用を確保する政策が、逆に失業者を増やす。
 USAID(アメリカ合衆国国際開発庁)はグローバルサウスに資金援助などを行い、また職員を派遣して支援してきた。一言で言えば横暴を支援で相殺してきた面もある。近年はそれらの国も狡猾になってきて、アメリカや中国の支援を政治的に引き出す政策を行っている。支援を受ける立場の側が支援する側を天秤にかけて利用している。中国のような国家主義は財政の赤字を考えないで、他国との競争に勝てる体制だ。中国はそれを活用して、国連を利用して世界各国に恩を売り、自分が居なくなれば困る状況を世界の国に輸出してきた。一方のアメリカにそのような予算は考えにくい。自国第一主義のアメリカが支援を細ることは無理もない。しかし一番の敵対国と考える中国の作戦に、結果的に見方する。アメリカの敗北だ。
 財政を見た時、一番の部門は軍備支出だ。そのためにはアメリカは自国の予算を削減する。その代償が同盟国の支出を要求することになる。「アメリカは世界の警察ではない」と常々言ってきたことがますます加速する。世界秩序を乱しかねないウクライナ問題から目をそらし、同盟国である隣国カナダやEUとの関係を狂わせることも辞さない姿勢だ。同盟国でもない台湾のことなど視界から消える勢いだ。アメリカの孤立を深め、ますます中国の笑顔を誘う。
 マスクの進める政府のリストラは、対外的には中国の利益にすべからく一致する。マスクの所有するEVメーカー「テスラ」は中国にある。EVはアメリカでは売れないが、中国では売れる。トランプはディールで勝負するが、マスクは中国でディールする。気が付けば今回のディールの勝者はマスクになる。そして最大の勝者は中国である。それでいいのであろうか……。

現実を見つめない国会

 石破首相が、若手国会議員に10万円の商品券を渡していた。このような金銭のかかわる問題が起きると、野党もメディアも過敏すぎる。先の政治資金不記載の問題はそろそろ1年半を経過する。いまだに国会の質問の審議が繰り広げている。野党は本当に国民のこと、日本の現実を考えているのだろうか。今回の商品券の問題で究明すべき問題はただ一つ、その金が内閣官房機密費から拠出されていたか否かであろう。そうであれば、予算の使用方法を検討すべきだ。
 現実の国会における質疑は、その貸与方法が自民党の体質であるとすり替え増長して追及している。自民党には自民党の運営方法がある。野党各党にも自党の運営方法があるはずだ。その違いがあるから切磋琢磨があり進歩する。今の現状は、隣家の金銭の使用方法を町内会の議題に俎上して吊るし上げているのと変わらない。国会の行っていることは、もはや問題の本質を正すことではなく、政治の権力闘争でしかない。闘争ならまだしも、イジメ的ハラスメントだ。闘争となると血が騒ぎ、こじつけてでも煽るメディアが飛びつき、増長する。1年半もの長い間繰り広げられる政治資金問題に幕引きができない国会はまさに税金の無駄使いだ。メディアに国を思う心があるのであれば、この件の報道を自粛することだ。
 アメリカでトランプが大統領に就任して、世界の潮流は大きく変わている。国際貿易に活路を築くしかない日本が、日本ファーストの国政がまさに必要な時期だ。大局的に世界を見つめたうえで日本の政治を考えない国会が延々と続く。政治とカネの議論は見たくも聞きたくもない。

トランプ関税は自国アメリカを弱体化する

 トランプ大統領は中国のみならず同盟国や隣国であるカナダ・メキシコ・日本・EUなどへも関税を拡張した。日本にとっては鉄鋼が適用される。最大の問題は自動車であるが、これも避けられないであろう。アメリカが世界の国々から輸出対象となっていることも、貿易赤字国であることも事実だ。逆にいえば、アメリカには世界の国にとって魅力のある商品が少ないことを示している。中国のようなダンピング的搾取生産による低価格はあるが、アメリカは自国で低価格の製品を生産できない。一見派手に見えるGAFAMなどを中心とするIT関連はアメリカ財政には反映されず、企業の腹を肥やしているに過ぎない。
 アメリカの経済的問題の最たることは、工業産業生産力の衰退だ。そのことはトランプもよく理解しているし、その再起に夢を描いている。産業の国内回帰を願って考えたことが関税である。輸入を押さえて国内生産を回帰させたいことは、誰でもわかる。特に製造業には生産力を付けるまでには数年以上の歳月が必要だ。アメリカにその余裕があるのであろうか。崩壊寸前のUSスチールに対する姿勢や鉄鋼関税など、自国産業を育成する感覚が疑われる。
 今はアメリカ国民は対外的に、カナダの属州化・グリーンランド買収・ウクライナ和平調停・ガザ停戦などリーダーシップを発揮していることに支持を示している。不法移民対策ではメンタル面では支持を得ている。トランプにとって最大の問題は経済復活であり、インフレ対策だ。国内生産が国民の要求に対応していない構造に、関税で物価が上昇すれば国民の生活は苦しくなることは間違いない。今のアメリカ人に苦境に耐えうる体質があるのであろうか。アメリカは建国以来最大の苦境に突入しようとしている。

高校の授業料無償化は地方の教育現場を喪失させ、過疎化を加速する

 少子化をくい止めるためには、子どもの優遇策を示すことは大切だ。その一環として授業料の無償化が議論されている。幼稚園から中学までは、子どもが家庭の範囲に留まることことから、その影響は全国一律・平等に考えられるし、家庭の経済的負担を緩和する。高校や大学となると生徒・学生は家から移動する。その理由は本人の能力を基準に考えることもあるが、経済的理由で公立と私立を考える。授業料が無償になると経済的理由がなくなる。その意味では教育の自由化が進んで、教育の観点で学校の選択が促進される。
 日本の将来を考えるとき、少子化と地方の疲弊が問題となる。授業料が無償になると私立への進学が増える半面、公立への進学は減少する。問題は各地方において、私立学校はその地方の都会に偏在していることである。当然、経済面が同じであれば、生徒数の多い都会の学校を望む。山間・漁村の公立学校に進学する生徒は激減する。そして少子化は廃校を促進する。ますます、課題である地方創成を打ち砕く。都会の独り勝ちとなり、教育の質を提供する云々の話どころでは無くなる。
 目先の正義ぶった政策で考えると、真の将来を誤らせる。子供に対する支援は必要なことであるが、国土を分断する世の中も考えなくてはならない。

帝国主義の時代に逆戻り

 19世紀後半は帝国主義の時代をひた走った。イギリス・フランス・ドイツ・ロシアなどのヨーロッパの国々が中心であったが、遅まきながらも唯一日本が追従した。帝国とは多民族を統治する政治体制と言える。当時のアメリカはモンロー主義の名残もあったが、地勢的にも国内の統治的にも侵略するには無理があった。その中で当時の大国であった前記4国はアジア・アフリカの分割に専念した。
 現在は、ロシアが露骨に牙を剥いてウクライナを侵略し、成功の暁には旧ソ連国に目を向けている。さらにイラン経由でのアフリカ進出を念頭に置いている。中国は中央アジアに進出したいところだがロシアとの関係で無理があるので、東南アジア・太平洋にさらにアフリカへと実績を上げている。アメリカは伝統的にロシアや中国のような侵略ではなく、影響力で各地に進出してきたが目立った動きはなかった。しかし、トランプ大統領になって、パナマ運河・グリーンランド・ウクライナ鉱物資源・南アフリカなどへの干渉など、他国を標的にしたアメリカ第一主義を打ち出した。他国に関与しないモンロー主義とは違う。
 ロシアは武力行使、中国は経済進出が強いが、アメリカは何を武器にするのであろうか。これまでは金融政策で世界を制してきたが、いつまでもそれはできないであろう。等しくいえることは3国とも、国内苦境を抱えていることだ。ロシアは経済低迷に加えて、政情不安定。中国は経済低迷と国民の窮乏。アメリカは国内混乱と産業の劣化。
 いずれにしても為政者は政治に苦労する状態だ。昔の帝国主義は〝great〟を目指す意識が強かったが、現在は〝国民を意識したポピュリズム〟に巻き込まれての帝国主義に突き進んでいる。

トランプは火事場泥棒をすべきではない

 ウクライナ和平についてトランプとプーチンが会談をするための高官交渉が行われている。和平交渉は歓迎すべきだが、当事者であるウクライナが除外されていることは問題だ。またウクライナ支援のアメリカとともに中心となってきた欧州(NATO)が参加していない。トランプはゼレンスキー大統領の支持率が4%しかない状況をもって大統領選をすべきと言っているが、実態は半数の支持率を保っている。プーチンの偽情報にアメリカが翻弄されているようで、情けない。
 この仲介に仲介者の利益が優先されていることは問題だ。トランプはウクライナのレアアースの利権を求めている。レアアースの中国への依存を解決することは良しとすべきだが、この段階で主目的にすることはいかにも醜い。かねてからトランプはアメリカ第一を謳っていたが、真にそうであるのであれば、過去のモンロー主義に浸ればよい。和平の仲介などやめてアメリカ国の政治に集中すればよい。
 トランプは強い大統領と思っていたが、意外と脆い人物に見えてきた。政治家プーチンの前では赤子のようにも見えてくる。ゼレンスキーを独裁者呼ばわりをしているが、実態の独裁者はトランプだ。故に独裁者プーチンに翻弄され、さらには尊敬の念を抱いている。政治をすることよりは独裁をすることに思いをはせている。習近平に一目置いたり、金正恩を許したりはその独裁手法に価値を見出している。独裁的経営で、財を成してきたイーロン・マスクの起用なども政治を踏まない政治にとって便利が故の物だ。
 ウクライナにレアアースを要求することは、まさに子供のわがままを思い出させる。火事場泥棒の発想が起きるのも独裁者なればの発想だ。アメリカは今一度熟考しなくてはならない。このようなアメリカにした世界の国々(特にグローバルサウス)は、自国の将来に危機感を持たなくてはならない。

第二のシャープにならぬよう……過去の技術に捕らわれた日産自動車

 昨年末、ホンダと日産が統合する発表があった。持ち株会社の元に両社が独自性を持ってぶら下がる案であった。その後、ホンダが日産を子会社にする表明をした。両社は高度成長期に販売のトヨタと違って、技術を前面に謳って業績を上げてきた。最初の合併を聞いた時、技術屋同士の難しさを感じていた。それだけにお互いを活かした独立性を持った、持ち株会社の元での形式を考えたのであろう。
 同じ様に技術を謳う三菱自動車は、当初から両社に加わらないと表明した。結局、ホンダと日産は統合を解消した。一方、トヨタはダイハツやスバル、マツダなどと緩やかな統合をしている。そして現段階では、グループとして世界最大の自動車王国を築いている。過去自動車は〝技術〟の集約としての商品を作り上げた。その過去と違うのは、もはや自動車は工業的技術の集約ではなくなりつつあることだ。差別化の力点はITなどのソフトの集約の統合アミューズメント商品に移行している。だから工業的三流のテスラやBYDがEV分野で短期間にシェアを拡大できたのだ。
 ホンダはともかく、日産、三菱自動車は自動車の将来を考えるとき、経営体質が過去のものだ。日産と三菱が組んでもどうにもならない。両社はホンダが嫌ならトヨタグループの工場になるしか生き残る道はない。頭を技術から商品に切り替えるしかない。在りもしないプライドを捨ててホンダと歩むしか生き残れない。
過去、液晶などの技術で一世を風靡したシャープであったが、商品感覚を失って経営危機に陥り、台湾の鴻海に買収された。日産は過去、経営難からルノー(カルロス・ゴーン)に実質支配された。その教訓は全く生かされていない。今度は鴻海に支配されるつもりであろうか。電器業界の鴻海が、自動車産業に参入できるのが今の世界であることに気づかなくてはならない。

少子化問題--[17]性の多様性には代償が必要

 アメリカのトランプ大統領が就任演説で、「男は男で、女は女であるべき」と多様性の行き過ぎに疑念を呈した。タイでは同性婚が法的に認められた。アメリカの合計特殊出生率は1.67、タイは1.32である。合計特殊出生率が2を切ると人口の減少が始まる。アメリカは不法移民の侵入を禁止の方向であるが急激な人口減少にはならない。タイは近年、経済成長し豊かにはなったが先進国に比べると、未だである。1.32の数字は今後の成長を考えるとき、不安が待っている。日本の合計特殊出生率は1.26である。この数字は少子高齢化の時代を表している。タイを考えるとき、「人口ボーナス」を教授はしていないが、日本は享受した。その成果の余韻は味わってきた。
 性の多様性を求める人は、自由・平等を尊重する。基本的人権を考えると男女婚・同性婚は自由であると考える。同時に社会が成り立つには、自由・平等の代償として義務が必要だ。人間の性に対する義務とは何であろうか。生物は子孫を残して、繁栄を持続する努力義務がある。国際的にはさなざまの置かれている実情がある。アフリカやアラブ諸国の多くは合計特殊出生率が3以上の国が多くある。これらの国はそれを避けないと「人口ボーナス」を享受するどころか、貧困・格差の苦難を味わう。
 先進国の多くは少子高齢化になっている。つまり子供が増えないと、これまでのような国力を維持できない。同性婚・未婚は子供を設けないことを表す。自由・平等を旗印とする性の多様化は、人口を抑制しなくてはならない国と人口を増加させたい国とでは、方向が違うのは明瞭である。
 日本でも最近は左派勢力を中心に、性の多様化が叫ばれている。女性に男と同じ役割や権限を与えることに異存はない。しかし将来を考えると、少子化は間違いなく日本を沈没させる。国民には今の幸せを考えると同時に、将来のために考えることが義務である。自分のことにしか投資しない人に対しては、将来の人のために投資を求めなくては社会が維持できない。自分の老後を社会に求める人生になることは明らかである。そうであるなら、子孫を残さない人は働ける時代に社会に貯蓄し、老後の社会の負担を軽減する必要がある。平たく言えば、子孫を残さないのであれば、税金で残す必要性だ。未婚・同性婚を求めるのであれば、老後の代償に現役時代に賦課を背負うこと覚悟をしないと社会的には不平等と言える。

メディアの実態……[19]普遍化できない粗末な組織

 フジテレビの社員がタレント中居正広に女性を斡旋したとの文春の報道で、またしてもメディアの醜態が暴露された。事態の発端から1年以上もして経過して、自己組織ではなく株主のファンドの指摘があるまで事態は葬られたままであった。趣味の違いと言えばそれまでだが、面白くもおかしくもない彼の番組が六つもあったと聞き、テレビの価値観に対する鈍感さと無能さが覗える。
 過去、旧ジャニーズの性加害問題で芸能事務所とメディアの癒着が問題になった。結局、メディアはただ単にジャニーズとだけの問題としかとらえられなく、モラル普遍の問題としてはとらえることが出来なかった体質が露呈した。メディアに求められるものの一つ倫理が欠落している。同時に自己を見つめ検証する姿勢の自浄能力が欠けている。はたしてフジテレビは株主のファンドの要求ではなく、一般の声であったら反応したであろうか。フジ以外のテレビは、視聴者受けの好材料として勇んで報道しているが、自分も同類であることを理解しているのであろうか。
 人(会社)の能力は応用力が有るか否かで真価が評価される。直接的なことに対処できるだけでは進歩はない。問題の関連から広く視線を変えて、他の問題をとらえることが視野を広げ進歩に通じる。理屈では分かっていながら、実行できないのが今のメディアだ。既に起きていることであるが、視聴者に見放され、挙句の果てにはスポンサーから見放される。視聴者やスポンサーは、SNS以外は他に方法がないからテレビを利用しているに過ぎない時代になっていることを自覚しなくてはならない。