システムを変更する--野球

 プロ野球のセ・リーグが27年からDH制の導入を決めた。既にパ・リーグが導入して久しいが、来年から高校野球も導入が決まっており、野球としての統一がされることになった。
 高校野球では、先発投手が完投をすることが多々あるが、プロ野球では先発・中継ぎ・クローザーと分業体制が進んでいる。打撃部門ではDH制はある意味で分業である。守備は苦手とか走力がないとかであるが、打撃は優れている選手は多い。DHはそのような選手に活躍の場を与える。今の野球は分業制が進んでいることになる。
 大リーグではストライクのカメラ判定が考えられている。今やカメラの技術的活躍はめざましい。AIが人間によって変わるか否かがどの世界でも議論されている。
 そのような中で、素朴な疑問もある。大半の国民はテレビなどの画像で観戦する。画面の中心になるのは投手と打者の映像である。初期のうちはカメラはネット裏から映していたが、現在はセンター側から映している。どちらが良いかは別に、観戦者はホームベース上をどのようにボールが通ったかが、主な観点だ。現在のカメラはセンターからレフトに寄った角度で映している。ボールの高低は良しとしても、左右の通過点は判別がつ付きにくいことは、誰でも思い続けてきたことではないか。カメラはその点を考慮して見極めなさいと言っている。自分目線も甚だしい。誰でもカメラをもっと投手の真後ろにしたらと思っている。バクスクリーンは打者が観客の動きで邪魔されないために設けられたのであるが、静止カメラ一台を置いても関係ない。カメラ配置を球団・競技場・メディアなどの誰がするのか知らないが、進歩・配慮が足りない。
 リクエスト制が取り入れられて、より正確な判定が下されるようになった。その前提はカメラの設置がある。そのカメラが人の影でボールを撮影できない場面も多々ある。制度は作ってもそれを実現できない体制では、笑えない。
 夏の甲子園が暑さ対策として、午前・夕方の部に分けられた。良いとも悪いとも言っていない。システムの変更は現状と効果をシミュレーションして実施しなくてはならない。特にプロの場合、主催者と演技者と特に観客を考慮して、実施しなくてはならない。

 

「石破、やめるな」デモの真実

 石破首相は、直近3大選挙で3連敗した。やりたいこと、やり残したことは誰にもある。平社員なら結果の良しあしに関わらず、居直ることがあっても仕方ないかもしれない。首相には大きく、二つの顔がある。一つが国を代表する顔で、あと一つは党を代表する顔である。
 国政を預かっている責任者として、政治に空白をもたらしてはならないと考えるのは、責任を果たしてきた者には許されるが、敗北した責任は自分を推薦した者にとっては責任を取ることは当たり前であろう。民主主義は最悪の場合を想定して多数決を旨としている。自分を選んでくれた者は、それを達成できなかった場合は、責任を取らなくては民主主義の根幹が侵され、そうしないことはまさの独裁の先駆けとなる。自分にしかできないと思い、自分の責任の重さを忘れ、組織の責任者としての責任を忘れた時、職務は終わる。
 巷では官邸の前で「石破、やめるな」のデモが行われた。意見の内容はともかく、この種のデモは最近なかった。今回の参議院選の結果が示すものは、このデモであろう。Xのデモ参加呼びかけに応じて、衆参した者も多い。Xでの発信者は誰であろうか。自民党支持者(石破支持者)が呼びかける訳がない。自民党はそのようなポピュリスト集団ではない。
 結論的には、石破の続投を望む野党となる。野党は弱い石破は好きなのだ。まともな自民首相が出てほしくないのだ。使命感に燃える愚かな首相が継投してくれることが、野党にとって好都合なのだ。自分の思いだけで政治の空白を作ることにも思いが回らない。

日米関税協定妥結

 トランプ大統領が7月末を期限としていた、25%関税の交渉が、15%の相互関税で妥結した。自動車関税が25%から15%になったことが最大の成果だ。コメの輸入もミニマムアクセス米(77万トン)の中での輸入量に決まり農産物への影響は免れた。80兆円のアメリカ投資は想定内以下でもあった。赤沢大臣などの粘り強い交渉の成果と言えるであろう。
 参院選敗北後、石破首相は退陣しないと表明したことをメディアなどは取り上げたが、関税交渉が合意する前に退陣を表明することは、百害あって一利なしだ。その点は政治家として筋を通した。関税交渉妥結を花道として、首相は辞任するであろう。
 トランプ大統領が妥結の道を選んだのは、大部分はアメリカ国内事情であろう。日本では報じられないが、エプスタイン問題(性的少女売春)に関与したのではないかという大きなスキャンダル揺れている。いつまでも関税の問題を解決できないと政権の膝元が危ない。ただ、アメリカが日本と付き合っていくには、今回の与党過半数割れは問題がある。日米が交渉するにも、早期の回答を得られない状況では、国際社会のスピードについていけない。過半数を持つ与党でなくては、信頼を持てないことは明白だ。それを理解しろと日本国民にサインを送ったのだ。

石破首相は、直ちに辞任すべき

 権力や地位を得た者に必要なことは、身の引き方や引き際である。石破は過去党内野党の立場が長く、その間一貫して党内批判をしたり、胸に秘めてきた。2009年に安倍首相が参院選に惨敗した時、責任を追及しやめるべきと発言した。その後も党内の居場所が心地悪く、もっぱらメディアに出演し憂さを晴らしてきた。そのせいか、国民の受けは悪くはない。今回の事態でもかなりの国民が辞任を強く望んでいない側面がある。あれほど裏に表に、石破内閣を望んできたメディアも今回ばかりは見放してきた。メディアの眼力は真実を見抜くことが出来ないことも証明された。
 選挙前には、過半数死守を謳っていたが、選挙中盤から〝比較第1党〟と誰が見ても実現可能な目標に切り替えた。中国はよく〝ゴールポスト〟を動かすが、心の隅に親中国を持つ石破も、自己正当化の人であった。今の野党同様、他人の批判はするが実行力はないことが明らかになった。政治は難しい面があるので、成果を上げなかったことに対してこれ以上は攻めない。
 問題は誰のために政治をするのかという認識の点だ。自分でなくては日本を救えないと言う崇高な思いと、大きな勘違いを政治家はしてはならない。どの世界でも自分より優れた人物は存在する。安心して道を譲ってもいいのだ。自分の力でやり抜くという気概は必要だが、自分を必要としていない状況に気づくことも必要だ。企業でも自分の立場を死守することに全力を注ぎ、挙句の果ては組織を弱体化・崩壊させた例は事欠かない。
 現実として、日本の政治は中道保守を謳う自民党にしか運営できない。不合理に思うかもしれないが、国のためには合理的だ。組織の礼儀を失ったら組織は崩壊する。礼儀とは、失敗したらきっぱりと身を引き、後進に道を譲ることだ。そこから新たな進歩が生まれる。

混迷を選んだ国民は自らの自覚が必要

 参議院選挙の結果、与党の過半数割れが起きた。その原因は明白で、自民党の自信喪失と世論と時の政府批判だ。その結果、自民党の保守層が参政党と国民民主党に流れた。さらに投票率が約7%上がったが、その要因は若者層の投票率向上だ。未成熟な選挙の現状は、SNSによる選挙操作が起きる。それがSNSを利用した参政・国民の躍進であり、現実を把握しきっていない若者層の支持により加速した。
 もう一つの現象は、俗にいうリベラルを標榜する政党の停滞である。第二政党の立憲民主党の現状維持は、最近の自民党バッシングの世論を考えると、大きな敗北であろう。共産党は決定的な判断を浴びせられた。批判するだけ・相手の失策で懐を潤す政党の当然の帰結だろう。数年後の姿は社民党の姿であろう。
 過渡期と考えると、少数政党の乱立に意味はある(国際情勢からは過渡期の免罪符は与えられないが…)。世界の潮流は、保守・自国第一主義だ。保守を極右と捉える意見もある。ヨーロッパは極右が台頭し少数多政党の状況だ。民主主義の根幹からすると多政党の乱立は意味がないでもない。しかし、国を動かすことを考えると、回りくどい効率性の悪さだ。それが中国・ロシア・アメリカなどの独裁指向の高い国の効率性を上げている。
 政治参加に挑戦した若者よ。選挙をゲームのようにしてはならない。自分のためだけ、今だけで考えてはならない。自分の子孫の代を考えて政治は行われなくてはならない。日本の若者にはその素養があると考えている。

日本人の感覚をマヒされる中国の戦略

 トランプ大統領が関税攻勢で日本を攻めることは、日本人の感情をアメリカ敵視に繋がることはだれでも考える。当然中国は考えるのを超して、利用を考える。そのための材料は日本を喜ばせる手法である。「水産物の輸入再開」「日本産牛肉の輸入再開」と6月末以来、打ち出してきた。輸入を再開することは、良いことのには違いない。日本の愚かなことは、それをあたかも相手を譲歩させたかのように思っていることである。前進したのではなく、スタートラインに戻っただけである。いや、むしろその間の歳月を考えるとマイナスである。それを利益を得たかのように考える日本人の人の好さだ。
 尖閣諸島周辺に中国船が侵犯してから久しい。漁船から海警へ、さらには軍の船へとエスカレートしてきた。中国の軍は膨大な規模であり、有事がない今は暇を持て余している。兵のストレスを緩和するには格好の材料だ。エスカレートは空にも広がった。中国軍機が日本機に異常接近する事態の起きている。初見は注目するが、それが常態化すると異常を異常と思わなくなる。暇な人には勝てない。
 黄海の中間線に、協定を破ってブイを浮かべる。さらには試掘を始める。太平洋の日本のEEZで深海の海洋調査を始める。レアアースが存在することから、これは急速にエスカレートするだろ。
 牛肉の禁輸をしたのは、BSEの発生した20年以上前だ。水産物の禁輸も数年前からだ。それをもろ手を挙げて喜び、中国に媚びる日本人。パンダは帰り日本にいなくなった。平和な日本人は愛くるしいパンダを望み、政治家までもパンダの貸し出しを要求する。あのパンダの狡猾そうな目つきが理解できないのであろうか。

世界の潮流を知らなくてはならない--世界を勝ち抜く政治

 中国がここまで発展を成し遂げた理由の一つに、政府が国の経済の発展に関与してきたことがあげられる。政府が企業などに関与すると、すぐに目くじらを立てる人はこれからの社会を理解できない人かもしれない。日本政府も悪い面ばかり攻められるが、結構将来を考え関与をしている。TSMCの熊本誘致やラピダスへの支援などは目に見える例だ。
 アメリカのトランプ大統領の行動は突発的で意味不明といわれることも多いが、背景にあるのはアメリカの発展のためには、これまでに比べ〝多きな政府〟を目指していることだ。最大の敵中国の〝大きな政府〟に学ぶことが出来ることは、頑固に見えるが柔軟性を感じる。
 世界はソ連崩壊後の自由貿易を基軸とした新自由主義の〝小さな政府〟の時代に世界的国際貿易が活性化した。しかし気づいてみれば、〝大きな政府〟に支えられた中国に独り勝ちを許してしまった。意味は違うが、中国やロシアなどの独裁指向の国がスタンダードを無視して、台頭することが出来た。そして世界の覇権国家アメリカは、それを無視できない規模になった。そのためには自由主義国家アメリカといえども軌道修正をせざるを得なくなった。結果がトランプの諸々の政策だし、手法だ。〝小さな政府〟では、手法の実現に時間と労力が必要だ(日本の政治の現実を見れば一目瞭然)。
 貿易で稼ぐ余地は多くあるが、現実はそのパイが増加していない。悲しいことにグローバルサウス諸国は貧しく、購買力が弱い。急速に購買力を付けるには、相当な歳月を必要とする。時期相まって政府主導で乱造した中国製品が国内の行き場を失って、海外に氾濫する。そのデフレ体質の政策が世界の経済を停滞させる。
 世界は大きな変革期に突入した。しかし日本にとって代わらないことの一つは、貿易立国として生きることであり、それを支える人材・技術などの維持・養成である。それが民間の力だけでは難しい世界になっている。政官民の癒着はいけないが、三者のタッグが無くては世界で生きていけない時代になったのだ。企業献金廃止などと時代を読めない人々の政治に、国際社会を勝ち抜く政治ができるはずがない。

物価高をどのようにとらえているのか?--物価高≒好景気

 参議院選挙も佳境にさしかかった。公示当初、政治とカネが依然として論点の比重を持っていたし、メディアは意識的に論点となるよう誘導する姿勢であった。しかし、物価問題に押しつぶされて姿を消していった。好ましいことである。過去のことを争うほど国際情勢は穏やかではないし、政治の役割でもない。しかし国際情勢を論点とするほど国民もメディアも成熟していない。コメの価格の高騰もあって論点は物価高にシフトした。
 消費者にとって物価が高いことは有り難くないのはよくわかる。しかし物価が低いことの影響はどのように理解されているのであろうか。生活が楽になる気がすることは分かるが、豊かになることはない。そのことは1991年にバブルが崩壊して、約30年もデフレ経済を経験した国民は肌で感じてきたはずだ。収入は増えないし、世の中は活気がない。将来の夢を持てなく、今の刹那に生きる動物の生活に逆戻りした。悪いことにはその瞬間だけでなく、将来を考えない弊害を残した。国力は落ちる一方で、それを取り戻す活力も失っていった。少子化はその最たる結果だ。
 極端なインフレ(物価高)はいけないが、適度のインフレは世の中の成長の証だ。過去の景気の良い時期を見ても、好景気=物価高は現実だ。物価高はマイナス要因ではなくプラスの成長要因だ。なぜ国民は物価が高いから政治が悪いと言うのだろうか。なぜ政治家は物価が高いから政府が悪いというのか。特に野党は生活が苦しいから減税しろという。減税で片づける志向は百害あっても一利なしのマイナス思考だ。どうして物価上昇分は創意工夫などで補うという発想ができないのか。それができない野党やメディアは国を亡ぼす反日主義の頭目だ。
 国民までもこのようなマイナス思考回路で政治を考えているのであれば、まさに日本沈没である。税金はしっかり納めて、それを上回る収入を得る生産活動に一人一人の国民が転換しない限り、いつまでたっても現状は打破できない。

トランプの鈍感さ

 トランプ大統領がウクライナに防衛兵器の供与を発表した。金の亡者トランプはその費用を欧州のNATOに求めた。アメリカの立派なNATOの一国のはずだが。横暴に見える彼も国内の動向を考えなくてはならないのだ。「プーチンには失望した」と半年も遅いプーチンの実態把握には、いささか呆れる。プーチンの判断に50日の猶予を与えるなどは、最近激しさを増しているロシアのウクライナ攻撃を理解していない。50日間はしっかり攻撃してよいと免罪符を与えているに等しい。
 ロシアからの輸入をしている国には100%の二次関税を課すとのことだ。「また、関税かよ」だ。いまや関税策の実効性や、副作用の大きさに疑問があることに気づいていない。この関税策で一番漁夫の利を得ているのは、中国であることを理解しているのであろうか。一番の敵国は中国といっている張本人が、一番中国に貢献している。輸入を減らして国内の製造業を発展させると言っているが、そのためには数年の歳月が必要だ。明日にでも復活するかの思考で短絡的に過ぎる。
 今や世界の国は、トランプを舐めている。まともに付き合う人物ではないと。同盟国とも単なる国としてしか付き合わない手法は、アメリカ離れを加速する。独裁者習近平・プーチンはトランプの政治生命は後数年として戦略を建てて居る。先の無いトランプが勝てるわけがない。残っている活路は、同盟国を中心に失った信頼を取り戻し、早急にウクライナを支援しロシアの野望を頓挫させ、イスラエルと一線を画すことだろう。ノーベル平和賞を望んでいる彼が、習近平やプーチンのような独裁指向の人物に憧れているとは、コケコッコーだ。

周回遅れの国際情報感覚

 アメリカではイーロン・マスクが新党「アメリカ党」を立ち上げると宣言した。独立以来続いてきた2党鼎立が崩れるのか。日本では現在、国政政党と呼ばれる党は10ある。自由民主の世の中では思いを持って手を上げることは、悪いことではない。しかし国民の税金を受ける政党が9もあることは何を意味するのであろうか。SNS社会で起こりうる現象の象徴であろうか。
 世界で超大国といわれるは、一応アメリカ、中国、ロシアであろう。その政治の大きな特徴は、独裁指向だ。インド、ブラジル、サウジアラビアなどもその傾向が強い。端的にいうと民主主義は統治しにくいということだ。そしてそれはあまり良いことではない。しかし、国際情勢が乱れる時代は、その傾向が顕著となる。独裁指向の政権は国民の民意を得るために、ポピュリストに変身する。国内だけでは収めきれず、国外にその場を求める。その歴史が、第一次大戦・第二次大戦だ。今の世界は確実に第三次大戦前夜だ。その先頭を切ってロシアがウクライナ侵攻した。中国は武力を背景に経済で世界侵略を続けている。アメリカは過去の大戦で、そうであったように自国に籠り、国力を醸成しようとしている。
 今の日本は国際情勢を全く把握せず、丼の中の島でしか思いが及ばない。知っているのは知識だけで、知識を活用する意識すらない。まったくの傍観者の立場で、自分の身の回りしか考えられない。多くの政党の中で、その調整にしかエネルギーを使えない。鎖国の中ではできても、世界一自由貿易の恩恵を受けている日本だ。日本は国際社会の中で、生きていく体制を失っている。今の世界では時代遅れの多数政党の乱立では、国際社会での日本を発揮する力は出せない。