人の言葉を人質にとるな

岸田首相が「聞く力」がモットーと言った。絶対的解がある事象でない限り、人それぞれに意見がある以上、話を聞けば聞くほど収集がつかなくなる。その結果、尊重すれば方針転換があることは自明の理だ。また結果的に変わらないこともあるし、押し通すこともあって当然だ。
子供への10万円支給の件も、国民的衆愚政治の典型になろうとしている。国会で議論すべきは、支給がされるべきかであり、必要経費の額である。それが現金か、クーポンか、一括か、分割かなどと、あたかもこれから決めるかの如く討議している。もっと今切迫している問題を議論して欲しい。メディアも情報ネタができたと喜んで、時間を空費している。
当の支給は、予算化できている5万円の枠と、これから予算化される5万円に分かれていて、後半部分をクーポンとする案だ。一括で支給することは、楽であることに違いないが、厳密に行うと来年の春でしか支給できない。そうすると期待通り遅いと批判する。クソッタレ!と思い勢いに任せて、クーポンでなく現金にと言う。これ以上言いだすと「聞く力」を人質にした脅しだ。
国民が認識すべきことは、ただで貰うには金がかかるということだ。クーポンは経費が無駄になるというなら、支給自体をやめろと言えばいい。後付けなら何とでも言える。クーポンにして欲しい自治体だってある。コロナ禍では、クーポン作成に携わる企業への恩恵も給付の一環としてあっていい。この時期は経費の使用が救済にもなる。文句を言っているのは経済的に困っていない平凡で暇な俄かジャーナリストばかりで、対象となっている18歳以下を育てている家庭ではない。
国会は、メディアの様に空いた時間を穴埋めする時間稼ぎの機関になってはならない。