“中原〟は征服民族の歴史

中原は中国・華北地方を指す。つまり黄河中下流域である。中国を治めることは中原を治めることであった。紀元後の概略は次のようになる。(太字は征服民族)
・後漢
・三国(魏・呉・蜀)
五胡十六国(匈奴・羯・鮮卑・氐・羌など)
南北朝(北魏=鮮卑(拓跋部)など)
隋(鮮卑=拓跋部)
唐(鮮卑=拓跋部)
五代十国(遼=契丹族)

・北宋
金(女真族)
モンゴル(モンゴル族)
元(モンゴル族)
・明
清(女真族)
・中華民国
・中華人民共和国
2000年中、700年ほどが漢民族と言われている時代である。つまり「中原」の歴史は1300年の征服民族の時代であった。過去は過去であるから、それを深く言いたいのではない。しかし、過去が現在に影を落とすことも無視できない。中国の歴史は王朝交代の混乱と束の間の平和の歴史である。まさに現在の中国は混乱から抜け出そうとしている時期だ。そのためには中央集権専制国家を目指すことは必然である。また、このような状況は常に外敵を恐れる不安を伴う。不安を持つ者は恐れの反作用で怒りを面に出す。
固定概念で考えてはならないが、中国の為政者は常に外敵の侵入と国内の内乱に不安を抱いてきた。現在の中国には侵略してくる外敵はほぼ無い。しかし急成長の陰に多くの国内不安を抱える政策を行っている。この不安を覆い隠すために「一帯一路」の海外侵略を持って、国内の矛盾を隠そうとしている。14億人の余るほどの市場と国土があるのであるから、皇帝は謙虚に内政に徹して善政を敷くべきだ。それが帝国が繫栄する唯一の方法だ。