中国の「一帯一路」が終わった

ロシアのウクライナ侵攻が始まって10日過ぎた。依然として終焉の気配はない。解決の方法は2つしかない。プーチンを退陣させるか中国の強い反対だ。しかしどちらも可能性が薄い。ロシアが非難されることは当然だが、中国も同じくらい非難されるべきだ。ロシアへの非難を安保理では棄権し、国連総会でも棄権した。あれほど自国を大国と言い張り、他国をことあるごとに非難している国だ。国連安保理で拒否権を持つ5ヵ国の一つだ。大きなことを言う前に、そろそろ世界に貢献するべき立場だ。ましてや自国で開かれたパラリンピック開会式のIPC会長の平和や戦争反対の発言の部分を自国には翻訳しないやり方は大国たる資格を失墜させたものだ。
シルクロードと言えば、郷愁をそそる言葉だ。言葉と裏腹に「一帯一路」の経済侵略に利用されている。当初は経済開発に魅力を持つ中央アジア・東欧・南アジア・アフリカなどに歓迎されたかに見えた。しかし返済のできない融資を行い、債務漬けにして利権を乗っ取る。建設には雇用を創出するどころか中国から労働者を送り込み、さらには資材まで送り込み、納期は遅れ現地への恩恵は薄い。中国自身のGDPを膨らますことが目的だ。その実態が世界にも知られてきた昨今に、今回のウクライナ危機への対応だ。
東欧諸国は大半がEUへ加盟し、中立を示していたフィンランド・スウェーデンはNATO加盟を進めている。特に「一帯一路」の命綱である東欧諸国は明確に離脱に動いている。中央アジアやアフリカの国々も独裁国家でない限り、本気で乗っかることの危険を感じている。
シルクロードは喜多郎の音楽に乗ったラクダの姿とかつての繁栄遺跡で充分だ。未来への繁栄は虚像に踊らせられない各国の信念にかかっている。