復興特別所得税のゆくえ

防衛費を5年で43兆円の捻出に苦慮している。増税か国債かで論議のあるところだ。本来の国債の活用はインフラ投資のように将来への歳出である。岸田首相が2000億円程度の復興特別所得税の転用をほのめかした。そもそも、それヘの国民の負担は基準所得税額の2.1%となっていて2013~2037年までとなっている。法人税への課税は震災後から課せられていたが数年で終了している。
現在の復興状況は、避難者は47万人からその10%に減少している。住宅は高台移転や公営住宅建設はほぼ完成しているし、生産設備はぼぼ再開可能となっている。原発付近の避難地域も避難指示解除も進んでいる。おそらく首相は再生状況進捗から見て、復興特別所得税の半分程度は転用可能と思ったのであろう。それに対して、震災というメンタルからダイレクトに反対した者もいたであろう。多忙な首相の職責柄、全てについて直ちに細かい説明をすることはできないことも多い。とかく、〝丁寧な説明〟を求めるが前後の状況で判断したいものだ。
被災地の住民に聞けば、当然のごとく「復興特別所得税は我々のものだ」かの意見が出る。述べたように復興再生は順調に進んできたし、財源は国民に特別に課せられたものだ。被災地の多大なご苦労は理解しているつもりだし、今後とも支援していくことに異論はないが、軽々に義務だの当然だの言葉を聞くと納税者も嫌になる。