史実を歪曲するNHK大河ドラマ

 NHKの大河ドラマをよく見ていた歴史好きの人が、今回の『どうする家康』は見ないと言っていた正月。理由を話したわけではないが、主演が松本潤とくれば、遠慮したくなるのもわかる。要するに素人が大声を張り上げて演技する典型になることは想像できる。当人は演じているつもりであろうが、見る側は気恥ずかしく背筋が寒くなる。
 案の定、半年も家康と側室築山殿の恋愛小説風が続いた。それはそれとして、築山殿が武田氏と通じていたことは定説となっている。信長が命じたとも言われるが、家康本人が殺害したことは史実であり、二人に仲は良好ではなかった。前回の『鎌倉殿の13人』も脚本家の推察が入り、興味を引くもに仕立てたことは事実だが、鎌倉時代は残された資料も少なく裁量を任される部分がある。ましてや三谷幸喜は、大声で怒鳴り上げるだけの脚本は書かない。結局、ジャニタレ・松本と女優・有村架純で視聴率を稼ぐ算段だけに終わり、半年を空費した。
 民放局はジャニーズ事務所に牛耳られて、低身低頭の忖度をする。NHKまでも侵略され、どこを信じればよいのか見当がつかない。次回の大河ドラマが何かは知らないが、NHKとしての責任を全うしたドラマを見せて欲しい。