習近平は本気で軍事行使を考えている

 中国で外相の秦剛の消息不明が1ヵ月経過した後、解任され外交トップの王毅が外相に就いた。香港の女性キャスターとの不倫などと、色々取りざたされていたが、その程度は当たり前の共産党指導部にとってはどうでも良いことであったろう。
 一つの理由は、秦剛は欧米に対して柔軟であったのに、対して王毅は強硬派である。アメリカに対して強硬路線をさらに強める狙いである。腹心と言われ秦剛を王毅に代えたのはその表れに見える。日本大使を務めたことのある王毅は知日派と言われ、日本は親近感を幾ばくか抱いていたが、次第に日本に対しても強硬な態度を示していった。習近平に飼いならされたし、利用もして出世した。
 一つの理由は、秦剛は異例の抜擢を受けたほど、習近平シンパであった。習近平も幾ばくかアメリカとの関係改善を心の奥に持っていた。スタート時点では利害が一致するように見えた。他方、王毅は対立する派閥に属している。その彼を外交トップに据えたり外相にすることは、矛盾にも見える。
 明らかに指導部内での抗争が激しさを増していることが伺える。反習派が日見よりの王毅を活用して、習近平に脅しをかけている。当然、指導部内には永久政権を目指す習近平に反対のグループが存在するわけで、反欧米の枠を超えて政権抗争をしている。例に漏れず、窮地に陥った独裁者は外交・軍事力行使で活路を開こうとする。いまだに、物事を冗談としか考えられない日本人は、隣国の狂乱で何が起きるかは、真剣に考えなくてはならない。