マイナカードの資格証明書

 岸田文雄首相が、現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一本化する方針と、来年秋に保険証を廃止するスケジュールを現時点では維持する考えを示した。マイナカードを持っていない人などが保険証の代わりとして発行する「資格確認書」については、マイナ保険証を持たない人全員に交付する考えを示した。「資格確認書」の有効期限について、政府はこれまで「最長1年」とする方針だったが、「(健康保険組合など)それぞれの保険者が5年を超えない期間で決めることになる」と述べた。
 有効期限を5年までも伸ばすことは、逆に混乱を恐れて制度も逆行を招くし、2重路線を敷くことになる。市町村や医療の現場が混乱し、反って忙しくなるという意見があるが、それは目先の事しか考えないエゴともいえる。元々この制度は、複雑化している個人情報を一本化し現場作業の軽減を目指しているものだ。いつまでも旧態依然としたシステムで進歩しないで「忙しい、忙しい」と不平を漏らしていることを、改善することが目的だ。
 移行時には作業の多忙や混乱やミスは伴うものだ。ここまで今の様にただ単に、興味本位で報道しては混乱の張本人は現場の一部とメディアと言わざるを得ない。国民は反対している正体がいかなる人種かを知る必要がある。
 首相は党内調整や支持率も気になることは解る。政治家が意に反した判断が求められることも理解できる。数々の成果を上げているにも関わらず、支持率が上がらないのであれば、自分の意思を貫いて政治家としての本分を示してみてはどうか。案外、国民はそれを求めているのではないか。

 コロナ・コロナで騒ぎ混乱停滞して2年……。今度は、マイナ・マイナで騒いで1年。どこまで日本は逆戻りをするのか。