少子化問題--〔7〕家庭の崩壊と地域社会の崩壊

 誰でも人から注意されることは好きではない。しかし、人の注意は助言である。助言と受け止められないことに解決が進まない原因がある。最も身近な助言者は家族である。3世代であれば、多くの角度からの助言を得られるし、いちいち反論している無駄を減らす術を身に着ける。

結婚の話――
 人は自分を貫くことができるほどは強くはないし、問題によっては貫く必要はない。親は年頃だからそろそろ考えるよう話す。祖父母は孫が可愛いから、いつまでも可愛がれる命ではないから、早くよい相手を持って欲しい。下の兄弟は上が結婚しないとトコロテンにならないと急き立てるし、上は適当にしないと格好が悪いと責める。いつの間にか「そういうものかな?」と思う。
 家庭で解決できないことは、地域社会で解決できることも多い。利害と感情が少ないから、聞く方も素直になれる。相手を見つけるネットワークの広く持っている。昔は見合い結婚が主流で、彼らも世話になり幸せになった。損得なく、次世代に恩返しをしたいと考えている。しかし地域社会は懇切に助言はするが、責任は持たない。適当なところで引かないと、逆に邪魔者扱いされるから身を退く。
 核家族が1代過ぎると、上記の環境サイクルが崩壊する。好むと好まざるに関わらず、自分だけの生活に追われている間に、周囲には助言者がいなくなっている。挙句の果てには、将来の自分をさえる年金の財源までも造れない、ナイナイ尽くしの一生が待っている。