晩節は本来の自分で過ごしたい

 昔と比べればテレビの音楽番組は減少した。その中で長寿番組と言えば『ミュージックフェア』だろう。司会はタモリだ。この番組も今世間を騒がせているジャニーズのためのジャニーズ事務所の番組にいつしか変貌した。番組自体は内容を吟味して、より視聴者のためのものにすればよい。
 タモリは若い時期を苦労し独自の存在価値を築いた人であろう。独特の軽妙な雰囲気はその表れであろう。紀行番組の『ぶらタモリ』は彼の趣味を生かした味のある番組だ。そこにはお笑い芸人を卒業した苦労人の晩節が垣間見えてくる。
 しかし音楽番組の司会をしている彼の姿に痛々しさを感じる。決して好きな曲でもないのに、さも名演であるかのようなコメントに付き合う。ジャニーズ問題が露見したから言うのではない。彼には似合わないのだ。人の演じる姿を誉めそやす役を演じることは。