中国に改正「反スパイ法」がある限り、進出には要注意

 日本の「日中経済協会」(経団連・戸倉会長)が訪中中だ。中国の李強首相などと会談を行っている。中国は国内経済の停滞・悪化があり、近年では珍しいくらい友好的だ。相当に困窮していることが伺える。
 昨年7月、改正「反スパイ法」が施行された。これまでの「反スパイ法」での「国家の秘密・情報」についてのものが、「国家の安全と利益に関わる文書・データ・物品」の観点が追加された。また、問題なのはこれが極めてあいまいな点である。つまり、管轄する国家安全省の恣意的な運用が可能であることだ。これまでにも、17人が拘束され10人が実刑判決を受けている。しかし、その訴訟根拠は公表されず、都合のいいように適用されている。
 今の中国の不況は、不動産への過剰投資に伴う金融不安である。また内需停滞に消費減衰や操業停滞による雇用不安である。更に自国の事しか考えに輸入規制は、他国を疑心暗鬼にさせ経済進出を阻んでいる。そこへ相も変わらず昔の〝朝貢貿易〟思考で、上から目線で相手をする。たかが、この10年余りで世界の貿易大国になっただけにも関わらず、尊大さが鼻につく。
 中国は政治で経済も行う国である。いくら公明正大に付き合っていても、いざ政治で中国共産党が脅かされると暴挙に走る。文化大革命・天安門事件・チベット侵略・新疆ウイグル自治区侵略・香港搾取など、おおよそ世界の常識が通用しない。この様な国に参入するためには、余ほど〝したたか〟な発想が必要だ。進出企業は、以前ほどのメリットはないことは、言われなくても研究している筈だが、これまでよりはより長期的視点から中国市場を考えるべきだ。