地方は地方の特性を

 2023年の人口移動報告書が発表された。コロナ禍での東京集中低下があったが、再び一極集中が再加速した。国際的に見れば、国に大都会のあることのメッリトは確かにある。しかし、それは人口増加局面でのものであろう。
 一方、気になる結果は、広島県が3年連続転出第1位となったことに象徴されることだ。広島と言えば、札幌・仙台・福岡ととともに、地方中核都市の旗手だ。地元に大学も十分存在するし、大手企業もそれなりに存在する。地政学的に見れば、広島は好条件とはいいがたい。平地が少なく交通機関の効率は悪く、地価も高い。周辺地域の人口も低く、集客率も悪い。県内は山地が多く、とかく開発には費用を要す。広島県知事は4期目と無風状態。老齢ではないが、能力・気力で問題は無いのであろうか。広島市長も4期目だ。この様な都市が再生できる方法を見出すことが、人口減少社会に対処する試金石だ。
 人口減少社会においては、国土の人口分布が国力を左右する。どの地域も平等の世界は実現不可能だ。従って、地方に中核となる都市があり、周辺の住民が気軽に都会的雰囲気を味わえる分布が必要だ。そのために札幌・仙台・新潟・金沢・高松・広島・福岡・熊本などの基幹都市が発展しなくてはならない。日帰り文化が味わえる環境が必要だ。
 デフレ、デフレと言っているうちに、いつの間にか大都会のマンションは高騰している。外国人の投機目的の投資もあるが、気づいてみればバブルも笑いにならない。もっとも地価の高騰で都会離れを促すのであれば、それも一興だが。
 過疎地・限界集落・空き家などが大きな問題になっているが、これまでの住民の在り方で対処することは非効率だ。過疎は過疎で、そこを引き上げてほかの目的での利用を考えるべきだ。昭和の発想で、都会にあこがれ田舎を嫌うのではなく、未来の発想で地方の豊かさを見出さなくてはならない。地方は、未来志向の第1次産業を目指す時期だろう。併せて、基地問題を曲解する玉城沖縄県知事・リニアを人質にする川勝静岡県知事のようなイデオロギー主導の政治ではなく、住民・国民の繁栄を考えた首長が求められる時代でもある。