マンマと策略にはめたメディア--内閣支持率

 岸田内閣支持率は各メディアとも軒並みに30%を割った。自民党支持率は30%超である。この両方の数値合計が50%を切ることが真偽はともかく危険水域と言われる。岸田内閣が発足して2年余りだが、世間の評判は良くない。
 人気のない原因は何なのか。果たして国民は明確な理由を持っているのであろうか。比較論だけで済むことではないが、これまでの内閣と比べて支持を得ない理由が何か特別のものがあるのであろうか。ただ単に物価が上昇して生活が苦しくなった生活感が原因ではないのか。これまでがデフレで物価が抑えられていただけで、目の前の生活が助けられていただけで、国が繁栄する一つの要素である物価上昇を、目先の生活苦を必要以上に誤解しているのではないか。
 メディアの責任は検証することであって、批判することではない。そのためには国際情勢を含めた幅広い事実を理解して、また将来を見据えた観点で検証しなくてはならない。今のメディアはその核心を持って国民に報道していない。政権を目指す野党の、目先の一挙手一投足を批判する仕事と何ら変わることの無い仕事しかしていない。メディアは自社の利害ではなく、国民を・日本を繁栄させるための利害を二の次にした検証を行うべきで、批判は第一の目的ではない。
 SNSなどに押されて、テレビ・新聞の衰退に焦りを感じているメディアの自己都合の報道姿勢はSNSに反比例して自制心を失ってしまった。活字離れ・視聴率低下でなりふり構わない姿勢が当たり前になってしまった。旧ジャニーズ問題などはその典型で、検証をする作業が出来なくなっているから長く放置し、自分の利益ばかり考えるから善悪の見境もなく利用し続けた結果ではなかったのか。あれから半年、メディアは何もなかったかのように、反省の色はなくなった。
 さて、内閣支持率の低下である。国民は内閣の批判報道は耳にタコができるほど見聞きさせられるが、賞賛報道はどれだけ見聞きさせられたであろうか。毎日・事あるごとに批判の報道をされれば、国民はおのずと洗脳される。中国の日本批判の洗脳教育と変わりない。社会主義思想の洗脳統治体質は未だに、メディアでは主流として生き続けている。責務である〝検証〟をしないで、〝批判〟ばかりを聞けば、専門家でない国民は内閣不支持になる訳で、メディアの思う壺であろう。

仕事が出来る人には高給を--格差があることが正常

 貧富の差が広がっていると言う。本当にそうなのだろうか。労働者であれば、自分が努力し成果を挙げているにも関わらず、周囲に余り働かないで同じような給料を貰っている人がいたらどう思うだろうか。当然、それは不合理と思うはずだ。格差格差と言っている人も、この状態を許さないであろう。貧富の差があって当然であるばかりか、無いことが異常なことである。
 このたび大臣の給与の引き上げが人事院から勧告された。当然公務員であり、一般の公務員も引揚されている。何故、大臣だけ引き上げが悪いことなのか。反対している政治家は自分が対象でないことを悔しっがっているとしか思えない(当然、票目当ての反対だが)。いかにも重大事かの如く報道するメディアも、ただ正義ぶった偽善者でしかない(職場では自分の昇給に血眼になっているのだから)。国民だって同様だ。
 このような発想しか持てないから、日本の経済は停滞するのだ。くだらない理屈で生産性を下げる。成長するものの足を引っ張る。前進を阻む政治家やメディアは退場しなければ、国民のためにならない。
 政治家だけではなく、与えられた責務は果たして見合った報酬を得れば、まともな労働となる。「30年の停滞」とばかり、言葉遊びをするが、成果に対する正当な報酬を与えなかったことがそれを招いたことが、未だ解っていない。

痛み分けは出来ないのか--パレスチナとイスラエル

 ハマスがイスラエルに侵入し人質を取り、イスラエルが反撃して1月が経過した。200人余りの人質をとる行為はテロと言われるのももっともな行為だ。それに対抗するイスラエルの攻撃も正当防衛と言える。パレスチナとイスラエルの確執の起こりは当事者ではなく、関係各国の思惑の中で出来上がったものであることが収拾の困難さを生じさせた。更に悪いことは将来について各国の思惑が働き、代理戦争の如き様相を呈している。
 パレスチナとイスラエルの間には、お互い不満ながら一応の線引きが出来ていた。パレスチナはヨルダン川西岸とガザ地区でその他はイスラエルと国際的には考えられていた。その均衡を破る行為がイスラエルによるパレスチナ領への入植行為だ。その癌のように蝕む行為がパレスチナを刺激しハマスのようなテロ組織を助長した。イスラエルは直ちに入植は中止すべきだ。
 ハマスは通常であれば戦闘能力はさほどではないはずだが、そうなっていない。そこには他国の支援があることは間違いない。イランとロシアの実物支援が混乱を助長している。ハマス自身も蜘蛛の巣状に地下道を巡らしていることは、長い年月の戦闘を考えてきたしこれからも考えるであろう。
 中東戦争終了時の勢力図に戻すことしか解決図はない。それにはイスラエルは入植を止める。イランやロシアはハマスへの支援を止める。国連は自身の存在価値を懸けて調停に努める。各国はそれを支援する。パレスチナ問題は明確な答えを出せない問題だ。そのような問題は現状維持が答えだ。

自治体も国策を念頭に

 自治体のわが身一番の典型は、沖縄県の辺野古移設反対と静岡県のリニア新幹線トンネル妨害であろう。自分のことが大切なことは当然であるが、最終的には国のことを考えた決断ができることが必要だ。
 徳島県が公立高校に中国のツーウェイ製のタブレットを導入した。このほど2割に当たる3500台が内部の熱膨張で故障して使えなくなっていることが判明した。どのような経過で選定されたかは定かではないが、価格の面が最優先されたことは想像できる。性能や耐久性は二の次であったであろう。製品に対する知識を販売業者に任せきった結果では、教育現場の面目は保てない。デジタル化を推進する過程において、旧態のついて行けない層が将来を担う若者を育てる現場で足止めしている現実が不安だ。
 問題は2年前に導入された機種についてである。ツーウェイは20年前に設立されたが、予てから製品の信頼性に不安を持たれていた。はたして導入時にそれを適切に判断されたのであろうか。適切な国産品を導入することはできなかったのであろうか。価格が問題であるのであれば、国の補助を受ける制度が無かったことに問題があるのだろうか。自治体の懐が厳しいことが理由であることは自明であろうが、国との連携は取れなかったものか。安いが勝ちの市場理論はあるが、2年で使い物にならなくなる導入は結果的に高くついた。結果教育現場では故障しただけでなく、授業に支障をきたし本来の教育の目的を果たしていない。
 公的機関では、もっと露骨に国を考えた発想をして欲しい。2年前は既に、中国の露骨な横暴が目に見えていた時期だ。国もそこをわきまえた資金と体制の維持に努めて欲しい。

真偽の判断をつかなくしたのは誰だ

 世論調査が疑問を持つことなく行事的に行われている。岸田内閣の支持率は相変わらず低い。岸田内閣の行ってきた主なものには何があるか、把握はされているのであろうか。
・日韓融和
・マイナカード促進
・原発再稼働
・福島原発処理水放出
・防衛費43兆円(5年分)確保による自衛力強化
・防衛3文書作成
・武器輸出3原則の緩和
・少子化対策

・新型コロナの5類移行
・半導体助成とTSMS誘致
・G7を通じての国際力強化
・大学ファンド「国際卓越研究大」

等が就任2年の間に実施・政策された。2年間でこれだけの問題に取り組んだ内閣がかつてあったか記憶にない。
 国民も野党もメディアも識者も、口をそろえるように「首相は何を言っているのかわからない」「情熱的な説得性がない」「丁寧な説明がない」などと批判する。批判する人たちは何を基準に判断しているのであろうか。相変わらず、ことの善悪ではなく、慣例によるムードで批判しているのではないか。ただ単に首相のクールな演出に嫉妬し、反感を表しているだけなのではないか。
 今の国民の貧困を生み出したのは、政治によるものより、国民個々人の無策無能によることが一番の原因ではないか。何かあれば政府に頼り、その恩恵をけなしてうさん晴らしをする。何もできない野党と、何でも批判しかできないメディアの口車に乗って、やる前から批判しかできない国民になってしまった。自分で理解努力をしないでゲーム感覚で政治を見下す。
 岸田内閣を支持して言っているのではない。政治の実態を正しく評価しないで表面的なムードで判断を下すことは、取りも直さずポピュリズムの表れではないのか。昂じすぎると混乱と悲惨さを生み出してきた歴史を見ると、国民の理性が必要な時期を感じる。

日本の独自外交を褒める

 パレスチナのハマスがイスラエルを攻撃し、イスラエルが反撃攻撃した。これに伴って各国が自国の立ち位置を表明した。日本は「すべての当事者に自制を望む」「テロ攻撃は許されない」との談話を発表した。日本を除くG7各国は「イスラエルの自衛権を支持する」と発表した。
 メディアはG7の議長国である日本はなぜイスラエルの自衛権支持を発表しないのかと、批判気味に報道する。挙句の果てにはG7から見放されたかの如く論評する。G7の会合でもない問題で、議長国である責任論などお粗末な発想をする。まるで定型的な〝村八分〟が如き旧態依然とした発想しか出来ていない。
 欧米各国には多くのユダヤ人が住んでいる。それは取りも直さず、貴重な票田でもある。これまでもイスラエルとは友好的関係であった。G7のうち欧米6カ国がイスラエルを支持することは、自然の流れである。相手がテロ組織であること以前の常識だ。一方、日本は気持ち的には親イスラエルであるが、ユダヤ人が住んでいる訳でもないし、戦争をする国を軽々に支持することはすべきではない。
 アラブ人とユダヤ人の間には3000年の長い歴史がある。その大半が対立の歴史だった。そこには簡単に妥協することのできない歴史があったし、現在も将来も解決が難しい関係だ。俗に言えば〝どちらも良いが、どちらも悪い〟解決困難な問題だ。メディアは報道の前に、アラブとユダヤの歴史を真剣に把握して、視聴者を洗脳しない報道をして欲しい。ついでに〝国〟とは何であるかも。
 このたび日本が定型的に欧米に追従しなかったことは、国が求める国益を考える政治の一端として見守りたい。

GDP、ドイツに抜かれる

 GDP(国民総生産)がドイツに抜かれ4位に転落した。円安の影響があったとはいえ、経済の停滞は間違いない。数年先にはインドにも抜かれる予想だ。これまではいずれも人口で日本を上回る国に次いでいたが、人口8300万人のドイツに追い越された事実は看過できない。1人当たりのGDPが高ければ、人口に比例しやすいGDPはあまり考えなくても良いが、日本の実態は30位前後だ。これはドイツにもかなり遅れている。抜かれたら抜き返す気概を持たないと国は亡びる。
 GDP=消費+投資+政府支出+純輸出の式であらわされる。
・純輸出は輸出と輸入の差額であり、円安の影響もあり黒字になっている。輸出は大企業の占める比率が高いが、多くの下請け企業を抱えている成果でもあり、その恩恵を分かち合うべきだ。
・消費は国民の消費が大部分を占めるが停滞気味である。賃上げでおのずと消費も向上するわけだから、企業のこれまでの賃金感覚を見直す事が求められる。それには社員も身を切る覚悟が必要だ。
・政府支出は公共投資が大きく影響するが、半導体支援や大学研究助成などあるが、大型公共事業はあまり行われていない。岸田首相は非課税世帯に7万円の支給案を表明しているが、バラマキは一時しのぎで活性化には無理がある。批判はあるかもしれないが、公務員や介護士などの政府が決められる場所から賃上げを率先して行い、企業に追従させるべきだ。
・投資は主に企業の設備や研究投資だが、一部を除いてしているとはいえない。将来を見据えた技術・製品の研究投資が望まれる。他人の懐はわからないが、大企業中心に内部留保はあるはずだ。先行き不安定な中国から撤退し、国内や安定した国に投資して国際競争力をつけるべきだ。

 国内消費は人口減に比例して、多くは望めない。おのずと輸出に頼らざるを得ない。GDP(国力)を上げるには、製造業がいかに付加価値の高い製品を創出するかが、一番早道だ。今一度、企業に頑張ってもらうことが必要だ。
 結論は、国民も企業も政府もこれまでのやり方を抜本的に改革しなくてはならないことだ。潰れるべき企業は退場し、先進的な企業が活躍しやすい構造に変革しなくてはならない。貧困は救済しなくてはならないが、基本的には貧しい人に照準を合わせるのではなく、創意工夫・努力をしている人に夢を与える社会に変革しなくてはならない。それがいずれは貧しい人も救済する。

ガザ地区の病院爆撃?

 パレスチナのガザ地区にある病院が爆破されて、多くの死傷者を出した。アラブ諸国はいっせいにイスラエルを非難するよりも、アメリカを非難した。この構図に中東の矛盾と脆弱さが露呈された。そこで問題になることは誰が行ったかである。
①イスラエル
 争っているガザ地区での出来事であるから、敵対するイスラエルの犯行は自然に浮かぶ。しかしバイデン米大統領が訪問した時に、実行することはいかにも不自然である。ネタニヤフ首相を譲歩させないための軍の独断の可能性もある。
②ハマス
 敵対するイスラエル内ではなく、自領の病院を爆撃することは考えにくい。しかし、所詮はテロ組織に過ぎないし、常人の正義は通用しない。バイデン大統領のイスラエル訪問によって停戦が成立することは彼らの本義ではない。
③イスラム聖戦
 パレスチナの第3勢力である彼らは、イスラエルとハマスが戦うことを望んでいる。それを期待し両者の対立に油を注いだ可能性もある。
④ヒズボラ
 レバノンを拠点とするだけに、実行は難しいだろう。
⑤兵器の故障
ポイントは爆撃された病院が教会系の病院だったことだ。いくらハマスが残虐なテロ組織とはいっても自領の病院を爆撃するとは思えない。イスラエルは爆撃はしているが、退避勧告をして爆撃を控えている最中であり考えにくい。偶然の確率は低いがロケットの故障により落下した可能性もある。

 バイデン大統領はパレスチナ・ヨルダン・エジプトとの四者会談を予定していたが、できなかった。世界が愚かだと思うことは、一斉にアメリカ非難の声が上がったことである。ウクライナへ残虐な侵攻をした張本人(プーチン)が、先に侵攻したハマスを差し置いて、反撃の攻撃をしたイスラエルを残虐な行為だと非難する姿に世界の混迷を見てしまう。それをわき目にほくそ笑み漁夫の利を狙う習近平の腹黒さが世界には見えたであろうか。
世界の国民や識者はアメリカの無能をせめ、余り根拠のないムードと慣例で非難を続ける。しかしアメリカが本気で損得勘定を始めると、世界は混沌の海に放り投げられることは理解しておかなくてはならない。待っているのはグローバルサウスの国々が中国・ロシアの餌食とされる姿だ。

パレスチナ問題の概略

◆エルサレムは3大宗教の聖地で城壁に囲まれた旧市街地に共存している。
・ユダヤ教「嘆きの壁」ローマ帝国により破壊されたエルサレム神殿の壁
・キリスト教「聖墳墓教会」イエス=キリストは処刑された場所
・イスラム教「岩のドーム」預言者ムハンマドが天に昇った場所

◆古代にはパレスチナの地にはユダヤ人のイスラエル王国が成立したがユダ王国とに分裂した。やがてイスラエルはアッシリアに征服され、ユダはバビロニアに捕囚されこの地を失った。新バビロニアの時代に帰還しユダヤ教を成立させた。

◆中世は主にアラブ人勢力が強くなり、多民族が侵入しユダヤ人は世界各地へ分散した。

◆近世になり列強の進出でアラブ世界は翻弄された。
・「シオニズム運動」
 19世紀末に始まったユダヤ人のエルサレム帰還運動
・「パレスチナ問題」
 パレスチナ居住のアラブ人とシオニズム帰還のユダヤ人の対立
・「フセイン・マクマフオン協定」(1915年)
 イギリス高等弁務官とメッカ太守フセインの往復書簡。第一次世界大戦後のアラブ国家建設を条件に、イギリスへの戦争協力を約束
・「サイコス・ピコ協定」(1916年)
 イギリス・フランス・ロシア間で結ばれた秘密協定。トルコ帝国(中東)を3国で分割する協定
・「バルフォア宣言」(1917年)
 イギリス外相バルフォアがユダヤ資本の戦争協力を期待し、パレスチナでのユダヤ人国家建設を同意。結果的に先のフセイン・マクマフオン協定やサイコス・ピコ協定に矛盾することになった

◆第二次世界大戦の終了後、イスラエルが建国した。アラブ諸国は反発しエジプトを中心としてイスラエルと戦った。
・「パレスチナ分割案」(1947年)
 国連総会で決議。パレスチナをイギリスの委任統治終了後、ユダヤ人とパレスチナ人の国家に分割、56%の土地にユダヤ人国家建設となった
・「イスラエル建国」(1948年)
 シオニズム運動が結実したが、アラブ人諸国との争いは続く
・「第一次中東戦争」(1948~49年)
 建国したイスラエルと建国を認めないアラブ諸国の戦争。アメリカの支援を得たイスラエルの圧勝。イスラエルは分割案の1.5倍、パレスチナ全域の8割を領土に。多くのパレスチナ難民が発生
・「第二次中東戦争」(スエズ戦争)(1956~57年)
 エジプトのスエズ運河国有化をきっかけにイスラエル・イギリス・フランスがエジプト侵攻。国際世論の非難で撤退
・「第三次中東戦争」(6日戦争)(1967年)
 イスラエルとエジプト・シリア・ヨルダンの戦い、6日間で停戦。イスラエルがシナイ半島・ガザ地区・東エルサレムを含むヨルダン川西岸・ゴラン高原を占領。背景にはアラブ民族主義の高まりやPLO(パレスチナ解放機構)結成などがあった。
・「第四次中東戦争」(1973年)
エジプト・シリアのイスラエルに対する奇襲。軍事的にはイスラエルの勝利であったがアラブ側がOAPECによる石油戦略、第一次石油危機が世界に及ぶ

・「エジプト=イスラエル平和条約」(1979年)
 エジプトが、イスラエルを公式承認。アラブ18か国とPLOはエジプトと断交

◆アラブ諸国とイスラエルは表面上は平穏を得た。しかしイスラエルとPLOの戦いが主になり、いわゆるパレスチナ問題となる
・「PLO(パレスチナ解放機構)」(1964年)
 イスラエルに対抗していたゲリラ組織を統合。
・「パレスチナ暫定自治協定(オスロ合意)」(1993年)
 PLO議長アラファトが国連にPLOを認めさせ、イスラエルとPLOが相互承認した協定。これに基づき94年にパレスチナ暫定自治政府が成立。
・「インティファーダ」
 パレスチナ人のイスラエルに対する抵抗運動
・「ファタハ」
 PLOでイスラエルとの和平を追求する穏健派。ヨルダン川西岸が拠点
・「ハマス」
 PLOでパレスチナ解放をめざすイスラム急進派。ガザ地区が拠点

◆現在のパレスチナ問題はイスラエルとテロ集団(ガザ地区のハマスやレバノンのヒズボラなど)の戦いと化し、イスラエルを欧米が、テロ集団をイラン・ロシアが支援する構図となっている。

戦争を大儀なきものしたロシアの罪

 ロシアがウクライナへ侵攻してから、戦争の戦い方がいち変した。軍同士が戦うものから市民を虐殺攻撃するものになった。戦いに正義はないかもしれないが、これでは大規模国家テロだ。国土も焼け野原になって、市民が傷つく。このテロ的戦争をロシアはスタンダードにしてしまった。虚弱な大国であるがロシアは世界に影響力を持つ大国だ。そのロシアが正義を失わせた。
 パレスチナのテロ集団ハマスがイスラエルへ侵入して千余人を殺害し、100人余りの人質を連れ去った。その報復としてイスラエルはロケット弾を市民に向けて打ち込んでいる。それはロシアがウクライナにしている無差別攻撃と同様だ。世界はその残虐性を無残に思うと共に、それに慣れてしまった。戦争とはそういうものだと。
 イスラエルはガザ地区北部へ総攻撃をするとし、市民の南部への避難を宣告した。急に24時間以内に避難せよと言われてもできるわけがない。イスラエルとパレスチナの問題は1世紀以上も前から続いている。その解決策は誰も知らない。どちらが勝っても勝てば正義であり、結果で答えが後付けされる問題だろう。今は市民の安全を願うしかないが、それも無理であろう。
 パレスチナ問題には双方に正義はある。それだけに世界は答えを見いだせない。しかしロシアの行為は正義を論じることができる問題だ。一刻も早くロシアが侵攻から手を退くか、さもなくばロシアを壊滅させるしかない。ロシアのウクライナ侵攻が正当化されれば、世界の秩序は守れない。