ユーラシア・グループ(米)の2023年10大リスク

イアン・ブレマーのユーラシア・グループの今年の10大リスクは以下の通りである。
①ならず者国家ロシア
②権力が最大化された習近平国家主席

③テクノロジー(AI)の進歩による社会混乱
④インフレの衝撃波
⑤追い込まれたイラン
⑥エネルギー危機
⑦阻害される世界の発展
⑧アメリカの分断
⑨デジタルネイティブ(Z)世代の台頭
⑩水不足

権威主義国家の横暴・危険が①②⑤で、北朝鮮を含めて念頭に置きたい。デジタル技術の発展に伴う危険が③⑨である。エネルギー戦略に象徴されるインフレと混乱が④⑥⑦である。⑧とブラジルが国内分断である。温暖化と地下水の利用過剰が⑩である。
ロシアのウクライナ侵攻失敗、中国の経済政策失敗とコロナ対応の失敗で、ロシアと中国が混迷するであろう。フェイクニュースと権威的進出で、グローバルサウスの国々がますます混乱するであろう。

ロシアの前時代性

ロシアがウクライナのソレダルを制圧したと報道した。改めて奇妙に思うことはロシア軍と言うよりはワグネルという私兵(傭兵)軍がウクライナでも活発に戦っていることだ。まるで戦前に中国で張り合った軍閥のようである。
私兵軍団にとって戦争が無いことは死活問題だ。従って無理をしてでも戦闘を長引かせ生活を維持する。ロシアがいつまでも前近代的なのは、この事でも証明できる。政府は正規軍を温存し国民の批判を避ける。その反面、私兵軍に武器・資金や便宜を与える。服役者を戦場に送り出す手助けをするなどは、とても近代国家とは言えない。ソレダルやムハブト近辺は、塩やニッケルなど豊富な地下資源がある。プーチンはワグネルにこの資源の権益を約束し、制圧を後押ししているのであろう。
ロシア軍はますます無差別攻撃の手を緩めない。最早、戦争と言うよりは虐殺テロである。攻撃対象は一般市民ばかりである。市民の犠牲者は1万人近くにのぼる。ウクライナ市民を不安の底に陥れて、白旗を揚げさせようとしている。ミサイルなどの攻撃兵器も底をついたのであろうか、艦船攻撃用のミサイルまでも市民攻撃に使い始めた。正に狂気である。
やっとNATOも戦車などの機動兵器を供与し始めた。新しい兵器は訓練を要するため、早急に供与し春に備えるべきだ。ロシア国民の良識に期待したが、フェイクニュースの流布などによって多くの国民は無知・無関心である。最近のタイへの旅行者数の断トツのNO1はロシアである。プーチンやワグネルだけでなく国民までも、結果的に狂気の淵を彷徨っている。

中国の正体‐‐‐‐発想が昔のまま

中国が日本に対するビザの発給を停止した。韓国にも同様の処置がとられた。日本、アメリカ、EU、韓国などは中国からの入国審査を厳しくしているが、これは中国がゼロコロナを終了して〝放置コロナ〟を行うことによって、感染の実態を報告しないことによる。さらに、それにより変異株の発生などが把握できないことへの不安があるからである。
日本や韓国などは、入国審査をしているけれど、ビザの発給を停止しているのではない。にもかかわらず、報復処置としてビザの発給を停止した。むかし流行った倍返しである。中国は自分でも誇るようにGDPで世界第2位になって久しい。それを大国の証として振りかざすが、風向きが悪くなると発展途上国として甘える。確かに1人当たりGDPは60位前後だから、明らかに発展途上国だが…。
自分で大国と言うのであれば、大国らしい風格を示して欲しい。世界にアンテナを張って、自国を責めることがあれば即座に反応する。ヤクザや不良息子が、一度反芻することなく直ちに反応する姿に酷似している。それは心の奥では不安や罪悪感や自信の無さなどでビクついている証である。ある時点になったら気付かないと、人は何時までも許さなくなるだろう。過去の王朝がそうであった様に、天下を取ると有頂天になって、そこから実態は衰退に向かっていることに気付いて欲しい。増してや現在は一国の中の話ではなく、国際環境の中の一国であるわけで、残念ながら未だ中国はそれの経験が乏しい。〝中華〟という発想を払拭できない限り、未来は暗い。

作為的な報道を止めよ

甘利氏が報道番組の中で、消費増税を行うと発言したと報じられた。あらましは次の会話であった。
司会「総理が異次元の少子化対策を明言しましたが財源は消費税でやるんですか?」
甘利「いや総理は消費税をひき上げる積もりはないと思います」
司会「ならどうするんですか」
甘利「色々やりくりをして行くんでしょう」
司会「将来に渡って消費税は上げないんですか」
甘利「将来消費税を引き上げる必要が生じた時には増税分は優先的に少子化対策に向けるべきとは思います」
直ちに、立憲民主党の泉健太代表や小沢一郎ら野党議員が批判。大阪府の吉村洋文知事、兵庫県明石市の泉房穂市長ら地域首長も異論を唱えた。

どこに、消費税を引き上げると言っているのであろうか。将来的には必要の応じて検討すべきこともおきうるとの可能性に触れているだけである。野党の偏向議員が政争目的で事を大きくして発言しているだけである。増してや甘利は自民党員ではあるが、政府の一員ではない。
最も間違っているのは、これをもって政府が消費税の引き上げを行うかの如く報じたメディアである。まるで発言することが全て悪であるかのように報じたメディアは世論操作のテロに落ちいっている。口では権威主義国家を批判しているが、戦前にメディが軍国主義を煽って国民を騙した。再び、あの悪夢が再来するのであろうか。

子供に投資することは良いことだ。ただ、政争の具にするは愚だ

小池東京都知事が、18歳までの子に月5000円給付すると発表した。一方、岸田首相は異次元の少子化対策を近いうちに発表するとした。岸田首相の少子化政策を察知した知事が機先を制した形だ。最近影を潜めていたが、最後の花道を咲かそうとでも思ったか。財政の豊かな東京都だからできる、ありふれたバラマキであるが、意義がないと言っているのではない。東京都が頑張る意味はあるが、首都圏一極集中是正をしなければならない実情からするとプラマイゼロになりかねない。既に子供対策を行っている自治体は、多くは無いが存在する。
地方の自治体は、バラマキでの対策は無理がある。地方移住者を受け入れることは、多くの自治体が取り組んでいる。それも一方法だが、金銭だけに捉われない、実情に合わせた取り組みを各々が検討すべきだ。イノベーションの余地が多く残っている農業に工夫を求めるのも一方法であろう。小規模自治体ほど官民一体となって活路を見出すのも良い。
首相から、どのような政策が出てくるかは不明だが、田園都市構想を謳っているのであれば地方活性化に繋がる政策を期待したい。

ps.コメンテーターのイイカゲンサ(都知事の子供への5000円支給について)
彼、娘に曰く。「5000円ではどうにもならないだろう」
娘、曰く。「5000円でも助かる」
彼の結論 「最初は、5000円ではどうにもならないと思っていたが、娘の意見を聞いてなるほどと思った」
彼は、どのような価値観を持ち、どのような基準で意見を捏造しているのであろうか?

 

政府に頼る考えでは、賃金は上がらない

岸田首相が、「賃上げの3本柱」を発表した。①リスキリング、②日本型の職務給。③GX(グリーントランスフォーメーション)である。要は新しい手法で技能を更新し、賃金体系を革新することだろう。これはこれで意味のある政策であるから、政府も頑張って欲しい。
問題はこのような形で政府が乗り出さざるを得ないことだ。賃金は企業のテリトリーであり、要求するのは労働組合や連合の仕事でありプライベートマターである。あえて言えば、リスキリングの学びの環境を整備することは政府にできる役割であろう。
日本が経済停滞し、賃金が停滞した期間も30年が過ぎた。その間に起きたことは、その責任は政府にあると言う野党やメディアの偏見的ご都合主義に国民が洗脳されたことである。社会主義国ではなく、れっきとした資本主義国である日本のシステムで、メディアや左派知識人が国民を混沌のドンブリに放り込んだ。つまり、資本主義体制の中に社会主義人種が住むようになった。その結果が、無気力で依頼心の強い国を作り上げてしまった。今必要な一つは、そのような否定的で不安を煽る報道をリスキリングしなくてはならない。
多分、発表された「賃上げの3本柱」も批判的に報道されるだけで、前向きに取り組み考える芽を摘むだけに終わるであろう。全てが視聴率第一主義の弊害に飲み込まれる。

ロシア(プーチン)の孤独

プーチンがCIS(独立国家共同体)の会合を開いた。CISは現在9ヵ国で構成される。その場でプーチンは首脳へ金の指輪を配ったという。しかし、はめたのはルカシェンコ(ベラルーシ)のみであった。キリスト教では指輪は一般的であるが、イスラム教ではその慣習はない。キリスト教国はロシア以外にはベラルーシとモルドバで、他はイスラム教国だ。プーチンはそのことを理解していたのだろうか。理解していたのならば試したのであろうが、理解していなかったのであればお笑いだ。
過日、中央アジア5ヵ国の会合を開いた時には、あからさまに迷惑だとの反応をされた。あれほど期待していた中国には、良いとこどりをされ利用されてしまっている。インドにはあからさまに原油・天然ガスを買いたたかれている。最早〝ならず者国家〟は同類のイランぐらいしか頼るところがなくなった。西欧諸国の制裁を受けているが、思ったほどの効果は無いようだ。逆にルーブル決済経済圏を構築しようとしているが難しいであろう。
残されたのは、原油資源と食料(小麦・トウモロコシ)での中東・アフリカへの攻勢であろうが、貧困に喘ぐ国には恩恵である。その前に一刻も早くウクライナ戦争を終結させて、正常な貿易で発展途上国を導くべきだ。

自分を客観的に見れない中国共産党

中国では新型コロナ感染者が爆発し、ついに国際的役割を放棄した。つまり、感染者の把握を止め、死者の正確な発表も止めてしまった。それほど混乱していることもあろうが、WHOへの報告違反であり、ウイルス株の変異の確認と対外関係への配慮の放棄である。
日本、アメリカ、韓国、台湾、EUの複数の国などが中国からの渡航者への免疫検査を強化した。何億人もの感染者と数百万人の死者が予想される事態となれば、入国検査を強化することは当然である。例の阿保ずらをした報道官が、決まり文句のごとく「対抗措置を検討する」と発表した。韓国は早速「NO KOREA」などと、かつて日本に対して行ったような世論工作をされてしまった。世界第2位の経済大国と喧伝し、国際貢献していると自慢しているのと裏腹に、WTOには〝発展途上国枠〟に未だに加盟して援助を受けている。中国とはそういう国なのである。
〝一帯一路〟の名目で各国に経済進出を目指しているのであれば、このような自己中心的思考がいずれ反感を買うことは目に見えている。既に急激な経済停滞に陥っている国の強引な策略を、いつまでも許す国は多くは無い。自国で蔓延させた新型コロナが、一党独裁という国を混乱のるつぼに放り込んでいることに気付かないという、世界史に腐るほどあった事例に気付かせない。

テレビ・新聞・SNSの責任

テレビと新聞の違いは何であろうか。明らかな違いはテレビは公共の電波を利用していて、新聞はプライベートな公共紙だろう。つまり、テレビは電波法を守り、より公平中立性を維持する義務がある。これに比べて新聞は、共産党の『赤旗』のように機関誌のごとく偏向しても良いことになる。このことを利用してマスコミ紙と言われながら、新聞の中には意識的に世論を操作するものもある。しかし、購読料を徴収している以上、原点の公平中立を守るべきが筋であろう。
昨今はテレビの広告収入はSNS広告に追い越されている。SNSは過激になり、何でも有の様相を呈している。スマホの利便性もあって、当分SNSの比重は高止まりであろうが、素人・個人に依存するものがいつまでも長続きするとは思えない。逆に言えば、それが続くようであることは個人の将来設計を遅らせるし、台無しにする危険性もある。
さらには、テレビ・新聞がSNSから情報勢力を挽回するために、作為的な報道を強めている。視聴率を上げるため、購読料を維持するために本来のジャーナリズムを壊している。特にテレビはその性格上、受け身に視聴者に情報を垂れ流すことを繰り返す。視聴者はいつの間にか報道内容が偽りであっても報じられていることが真実と錯覚してしまう。金で雇われたキャスターやコメンテーターが結果的にグルにならされて視聴者を誘導する。フェイクニュースはSNSだけのものではない。

メディアが守るべきこと、視聴者がチェックすべきこと

公共の電波を利用する業者に課せられている【放送法第4条】には、次の義務が課せられている。
(1)公安及び善良な風俗を害しないこと。
(2)政治的に公平であること。
(3)報道は事実をまげないですること。
(4)意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

近年、メディアが変質してきている。特に、民主党政権が倒れ安倍内閣が長期政権となったとともに、野党に政権奪取の可能性がなくなった頃からだ。〝モリ・カケ〟〝桜〟の頃からだ。与党にも問題があったが、将来に絶望した野党がいたずらに国会を空費した頃からだ。メディアもタイアップするかのように公共の電波を空費した。続いて新型コロナ禍での報道である。偏向のえせ知識人や全くの素人門外漢に語らせて、コロナ被害以上に社会を混乱させた。無知と深謀により、行政の責任を全て政府の責任に転化して混乱に拍車をかけた。旧統一教会の問題などでは、人間の弱みに付け込んで正義ぶって、触れ合った政治家は全て悪であると断定したデマゴーグを流した。おまけに安倍元首相の国葬まで生贄にした。問題が起こるとハイエナのごとく視聴率という餌に偽造してシャブリ尽くす。ウクライナ問題もその犠牲にならないこと願う。
テレビに対するチェック機関は存在するが、ほとんど機能していない。それは業界の協賛機関と化しているからだ。日本学術会議が腐ってきたように、テレビも同様である。余りにも長い間、放置されてきたせいで当たり前が当たり前でないかの如く歪曲した業界に変質した。見ないことも一方法であるが、それでは解決にならない。視聴者やスポンサーは〝放送法〟の観点からもチェックすることが必要だ。それ以前にテレビが自ら、自分を棚卸することが大切だ。今のテレビでは激変する国際情勢を乗り越える力を日本に与えないどころか、侵略の餌食になることに寄与してしまう。