自民党の派閥が解散した

 自民党の、安倍派・二階派・岸田派が解散した。残る麻生派・茂木派・森山派はどうなるのであろうか。解散に至るきっかけは、派閥パーティ収入の政治資金としての記載漏れであった。これが正確に立件されず、派閥の解消という形で終息しようとしている。政治資金規正法の改正なども言われているが、本題の政治家のモラルの向上が望まれる。
 派閥の連立から構成されていた自民党が、これからどのように変わっていくかが期待と不安である。元々、派閥があること自体に問題は無い。派閥=悪、グループ=良の言葉の響きで、善悪を決めている周囲の無知さがにじむ。数百人の国会議員を擁する自民党が幹部と平議員で運営することは不可能だ。
 日本共産党で志位和夫から田村智子へ、23年ぶりに委員長が交代した。23年はいかにも硬直した政党であるかも表している。同時に組織形態は、幹部と平議員の強権的構図だ。この様な形の組織は変革を望まず、現状維持と保身を是とし前進しない。他の野党も似たようなものだ。
 自民党が長く政権を維持してきたのは、党内の勢力バランスが争われ、良いも悪いも談合と拮抗が繰り返された結果だ。派閥が悪いでかたずけられて、組織がバランス維持できなくなることや、強権で幹部が保身に走る組織になることは、いつまでも維持できない。
 組織論に走るのではなく、国の行く末を考える政治家が活躍できる政治を考えるべきだ。そのために派閥的な組織が必要であれば、むしろ組織活性化のためには必要だ。「俺たちがやっていることに、何の問題があるのだ」と胸を張って言える議員・政党の出現を望む。

 

早急に政治体制を立て直せ

 アメリカの共和党大統領候補選の第一陣アイオワ州でトランプが圧勝した。国民は明らかに強いアメリカ〝アメリカン・ファースト〟を望んでいる。北朝鮮はロシアとの結び付きを強化し、ますます権威主義を強化している。イランはイラク・シリア・イエメン(フーシ派)などを操って、これも権威主義を強化している。中国は台湾がアメリカ寄りの民進党(頼清徳)の総統戦選勝利により、これまた権威主義を強化するであろう。
 世界は景気の停滞に伴い、経済的にも運営効率が良い上からの指示に基づく権威主義が強化されている。自由資本主義から見れば邪道であるが、グローバル世界である現在は国内よりは、世界に乗り出すための政治が要求される。方法や状態は様々だが、国を一つにまとめた方がグローバル社会では圧倒的に有利だ。
 国内では自民党の派閥のパーティ券に伴う派閥の是非が議論されている。組織が大きくなれば、一括するよりは部分に分かれる方が結果的に運用効率が良い。それは現実に社会・組織において経験し、適用していることは目にしている。派閥の是非が問題なのではなく、運用が問題なだけである。
 自民党に派閥があるから悪であると言うが、野党は所属議員が少ないから派閥を作れないだけである。しかし、少人数でも仲間を作っている。野党は政権を奪うために、ただ単に批判を繰り返す。メディアは公正な報道を忘れて、批判の為の機関と化している。
 世界は今、国がどの様に発展するかが生き残れる時代である。昔のように交通機関が発達していない時代ではない。交通は世界規模であり、情報通信により瞬時に結ばれる。そのなかで大切な外交力は経済的・軍事的バックボーンが無いと機能しない。批判ばかりでなく、生産性のある議論を、国民の為になる議論をすべきだ。
 今日本の舵を取るのは自民党しか現実的でない。早急に党を立て直して政治を進めて欲しい。野党はまともな政策・人材を育てて政権を目指して欲しい。メディアは良い所は良い・悪い所は悪いは当然とし、国民に未来を感じさせる姿勢で報道して欲しい。くどい様だが目先の出来事に労力を費やすほど世界は停滞していない。

2024年、世界の懸念要因--ユーラシア・グループ

ユーラシア・グループが予測した2024年の世界の懸念点は次の事。
①アメリカの分断
②瀬戸際の立中東
③ウクライナの事実上の割譲
④AIのガバナンス欠如
⑤ならず者国家の枢軸
⑥回復しない中国
⑦重要鉱物をめぐる争奪戦
⑧インフレによる経済的逆風
⑨エルニーニョ現象の再来
⑩分断化進む米でビジネス展開の企業リスク

ちなみに、2023年の予測は下記の事。
①ならず者国家ロシア
②権力が最大化された習近平国家主席

③テクノロジー(AI)の進歩による社会混乱
④インフレの衝撃波
⑤追い込まれたイラン
⑥エネルギー危機
⑦阻害される世界の発展
⑧アメリカの分断
⑨デジタルネイティブ(Z)世代の台頭
⑩水不足

若者にしか遺せないものがある

 生物は代々、先祖から受け、子孫に遺し伝え生き残ってきた。〝メンデルの法則〟や〝優性遺伝の法則〟などの言葉もあるように〝遺伝の法則〟だ。特に哺乳類は強い雄が雌を優先的に占有し、強い子孫を遺す。人間にも親の資質を受け継ぐ子孫が多いことは現実に目にしている。
 今、若者に焦点を当てて考える。つまり子孫を遺すのは若者であるからだ。そして遺伝のための資質である〝遺伝子〟を創り上げるのには何年もの歳月が必要である。言い過ぎると、おおよそ10代までが勝負ということになる。この時期に行ったことは何でも受け渡すことができる。ただ、注意すべきことは記憶した知識は引継げないことだ。従って、知識であれば知識を習得するための思考回路を創ることが必要だ。そのためには考え方を司る回路を創らなくてはならない。現実の知識というよりはそれを習得するための能力を養わなくてはならない。
 スポーツで代表される運動能力は日頃の身体の訓練が必要だ。持続力・瞬発力などの継続的な鍛錬が必要だ。スポーツマンの子は、競技は違ってもスポーツマンの能力を持っているのを目にする。体と脳の連携回路を創る必要もあるが、それがメンタルだ。
 簡単なことではないかもしれない。そのためには苦しく、習得しがたい日々が続く。それをやり遂げるためする努力・能力は資質に反映し、子孫に伝えることができる。人間として動物としての基礎能力を徹底的に鍛錬することが、強い子孫を遺せることに繋がる。人の幸福の一番は、俗に言えば優秀な子供に恵まれることだ。
 壮年になると自分の為にしか生きられないが、若者は他人(子孫)の為に生きることができる。

北朝鮮の動向に要注意

 北朝鮮の金正恩が新年の訓示で、新年が「戦争準備強化の新たな全盛期」になると表明した。また、すぐさま韓国との黄海上緩衝区域に200発の砲撃を行った。昨年はロシアへのミサイル供与を行い、弾道ミサイルも多発した。プーチンの作った前例〝侵略はタブーではない〟に強権主義国は麻痺している。中国同様、どの程度の軍事行使までが可能かを様子見ることを強化するが想像できる。
 昨年の北朝鮮の動向で話題になっていることの一つに、娘ジュエ(10歳?)の露出が当たり前になり、後継者と目されていることがある。上に男の兄がいるとされるが、下の娘に託されるとすれば何があるのであろうか。独裁者としての資質が問題なのであろうが、物おじしない娘の姿を見るにつけ、帝王学が施されていることが伺える。
 まだ30代の金正恩が、なぜこうも急いでいるのであろうか。一つは金一族の結束を固めるためであろう。逆に言えば、一族の結束・資質は脆弱そのものと言える。一つは金正恩自身の健康問題だ。典型的な成人病の体型であり、ヘビースモーカーだ。長生きは出来ないであろう。
 国内の状況は制裁などで、混迷を極めていることは想像できる。しかし、核開発を止めることも軍備を強化することも止めることはない。国民の不満が爆発することは、ひしひしと感じているであろう。将来に不安のある独裁者が考えること・行動することは過去の歴史と変わることはない。自滅に他者を巻き添えにすることは、繰り返された悪行だ。プーチンの悪行・イスラエルの過ぎた攻撃が、世界の感覚を麻痺させた。

リスク管理に敬服する

 羽田空港で日本航空機と海上保安庁機が衝突した。海保機の機長が重症・乗員5人が死亡した。日航機は機体が火だるまになったが、乗員・乗客379人全員が助かった。衝突後、約10分の間に前部と後部の脱出シューターで脱出した。CA(客室乗務員)の機転によるものであった。
 この様な状況下で混乱するケースは、荷物を持ち出そうとすることと、我先を争って通路を塞ぐことだ。そして先導役の指示に従わないことだ。CAは毅然と冷静に先導したことは見事である。乗客もそれに従って、身体一つで冷静に従った。日本国民の底力を頼もしく思う。
 前日には石川県の能登半島で大地震に襲われ、津波も発生した。この時、NHKの山内泉アナウンサーが避難のアナウンスを行った。日頃の口調と打って変わって、説得調から命令調に代へて避難を促した。背筋がゾッとするそのアナウンスは、現地の人たちの避難行動に貢献したに違いない。用意された原稿をただ棒読みするのではなく、本人も後でびっくりするような演技であったろう。日航CA同様、立派なリスク管理だ。
 一方、衝突事故の原因の究明はこれからだ。管制側か海保側に原因が考えられるが、今後のより一層のリスク管理が求められる。

少子化問題--〔16〕政府に頼りっぱなしでは少子化は防げない

政府の少子化対策はこれまでよりも前進してきて、喜ばしい。ただ、給付や税対策などが中心である点が残念だ。保育現場の拡充と改善・義務教育の無償化・高校の授業料無償化などは当たり前の事であろう。要は実質高卒が大勢になっていることであるから、この18年間を平等に安心して送れることが必要だ。大学の無償化が議論されているが、大学は教授内容が多岐にわたることから一律に議論するには疑問がある。ドライに将来の日本に具体的に必要とされる学科に、学生にではなく大学に補助を与える戦略的観点が必要だ。
余り他国と比較する必要はないが、韓国の現実を理解することは参考になる。合計特殊出生率は日本は1.27で韓国は0.7だ。最近の出生人口は約80万人に対して約30万人だ。このまま続けば明らかに日本より先に韓国は沈没する。青春を謳歌し、今の事だけ考えて、自分の将来や未来の子孫を考えないと確実に、現実は自分に罹ってくる。
昨今の国民は、何かあればすぐに政府を批判し、頼る傾向が強くなった。純粋に資本主義を貫くか、福祉国家を目指すかによって政府の介在は変わってくる。当然、福祉国家を目指せば政府に頼ることになり、上からの政策が強くなる。しかし、今の国民は政府を批判はすれども協力は快く思っていない。平等を求めるが、平等に国民としても責務を果たしていない。
子沢山の家族を見ると微笑ましいと同時に尊敬する。金銭的に豊かであるから、子沢山とは言えない。苦しくても沢山の子供を育てている人もいれば、逆に独身で豊かに生活している人もいる。将来の社会保障に貢献するのは前者だ。つまり独身や子供の少ない人は現在には貢献するが、将来に貢献する度合いは低い。そのような人が悪いと言っているのではない(人それぞれ事情がある)。それが現実ということだ。
国が国として繁栄するためには内需が必要だ。グローバル世界においては生産したものを輸出すれば潤うとばかりは言えない。中国が水産物の輸入を禁止し、レアメタルの輸出を規制したように、グローバル化は戦略的に利用される。経済は成長をし続けなければ国は衰退する(過去30年を見ればわかる)。内需を活性化するには購買者が必要だ。購買者を増やすためには人口増加が必要だ。若者が増えると活力ある画期的な製品が創られる。しかし政府に頼る甘えの体質では、苦境を乗り切る力を得ることは出来ない。敗北に立ち向かうには柔軟なで若い血が必要だ。困れば頼る体質は若い血も脆弱な体質にしてしまう。

漫才を見たい!

 最近、テレビでの漫才の放映が少ない。しかし、漫才師如き人が画面に溢れている。某局では漫才日本一を競う番組が毎年開かれている。そこを目指して多くの人が挑んでいる。研鑽を積んで実力を養成している姿には一目置くべきだろう。
 『M-1』制覇を目指し、優勝したコンビは多くあるし、テレビに多く露出している。しかし悲しいことに、そこには漫才をしている姿ではなく、ただバラエティなどの漫才とは縁のない姿ばかりである。彼らはどこで漫才をしているのだろうか。大都会の寄席などでは観ることができるかもしれない、田舎のドサ廻りで見かけるかもしれない。普通の人はテレビを通して見るしかないけれど、そのテレビが放映しない。世の中は市場原理で動くが、もはや漫才は市場で必要とされていないのだろうか。テレビは冷酷に視聴率を前提に番組を造ることを信じれば、漫才は視聴率を稼げない芸になったのだろうか。
 漫才を目指してきた芸人が行き着く先は、バラエティ番組の〝にぎやかし〟役に落ち着いている。当人もそれが解ってきて、稼ぎになるから漫才師は辞め芸人に満足している。いつの間にか漫才選手権はバラエティ芸人になるための登竜門と化した。寂しいことだが生活がある彼らを責めることは酷というものだろう。
 問題はテレビにプライドが無くなったことだ。漫才師を育てると言う文化的責任感が失せたどころか、自局の視聴率向上を目指して、冷酷に彼らを道具として使い捨てる。それが解っているから、逆に冷酷に演じる姿を見ると、努力してきた過去を賞賛するどころか、軽蔑に近い視線で画面から目を逸らしてしまう。
 独占的放映権を利用して国政は歪めて批判報道するだけのツールを与えられているのであれば、自分の手助けに利用するだけでなく、日本の伝統〝漫才〟を歪めてでも育てるテレビになって欲しいものだ。

派閥の功罪--自民党・安倍派と二階派への検察捜査

 自民党の安倍派と二階派へ東京地検が捜査に入った。パーティ収入が還流して政治資金に不記載が問題になっている。政治資金規正法違反であることは明白だが、派閥事務局か議員個人かが今後の焦点となる。それは地検の究明に任せるしかない。
 メディアでは派閥そのものが悪いと断定して議論がされている。国民の前で話すことは許されないミスリードである。そうするのであれば何故派閥が悪いかという論理的根拠を示さなくてはならない。犯したことが悪いのか派閥が悪いのかをごった煮して報道している。今回の問題は派閥が悪いのではなくて、その運用が悪いのである。それは派閥があったからと言うかもしれないが、罪を犯していない派閥も現に自民党にある。これらもメディアの思考停止と策略的報道姿勢の生んだものだ。
 自民党以外の政党には派閥がないかのような報道がなされているが、それに類似したものはある。もっとも派閥はある程度の集団にならないと機能しないから、今の野党には実現する可能性はない。組織が大きくなると地方分権のように権力移譲されたグループが出来るのがむしろ正常だ。それをいかに運営していくかが組織の力だ。自民党は地方分権が過ぎて(というよりは中央政権が弱くて)暴走を生んだ。
どの世界でもそうだが、個人が組織に頼る風土になっていることが諸悪の根源だ。国民が政府に助けてもらえることが当たり前と思うようになり、そう思うように報道を繰り返すメディアが個人を脆弱な体質にした。個人(議員)がしっかりしていたら派閥は強力な組織となる。それは党を強くし、国を強くする。政治を目指すものも自己を強くしてほしい、派閥という物体に頼らなくても活躍できる人材になって欲しい。そうなるためのステップとして派閥を活用することは悪いことではない。
自民党は派閥を人間関係の集まりではなく、政策集団として機能するものに替えなくてはならない。野党は一刻も早く国民が期待する、批判集団ではない政策集団に育たなくてはならない。

何もかのが政府が悪いとする停滞思考を改めよ

 世の中は、自民党安倍派のパーティ券問題で、夢中になっている。確かに政治資金規正法の不記載があったのであれば犯罪である。それ故、検察が調査しているし国会が閉幕すれば事情聴取が行われる。特に野党は国会開幕期間がわずかであるために、血眼になっている。それは野党の責任であろうから致し方ない。しかし、メディアは野党と同じ目線で、報道をしてはならない。自民党は私的なものだが、政府は国民のモノだ。自民党の問題を政府の問題に結び付けるだけの発想は報道機関として余りにも野党的過ぎる。
 岸田首相は安倍派の大臣・副大臣・次官の全員更迭をほのめかしている。今回の問題に関係があるか否かを確認しないまま、安倍派であるから失格という発想は安直であろう。首相は慌てないで冷静に対処すべきだ。
 岸田首相は自民党の総裁であるから、当然今回の問題を適切に処理をしなくてはならない。と同時に政府の首相でもある。国の運営と自民党の運営は、それぞれの事象に基づいて議論されなくてはならない。特に事実を報道することを委託されたテレビメディアは、ほくそ笑んで国政と自民党を同一視が過ぎる報道をしている。
 メディアは、時の政権を打倒することが使命であるといつの間にか錯覚してきた。それに基づく報道は、国民を扇動する行為であることになる。一番批判してきたアメリカに庇護される状態を、もっとも最新の状態に更新していないのはメディアである。アメリカの傘の力に頼ることを批判するのであれば、日本国が前向きに成長するためには何が必要かを考えて報道して欲しい。政府に前向きな仕事をさせる報道の仕方の一つもありたいものだ。